不動産資産10億円からの税務知識

不動産資産10億円からの税務知識 第25回

不動産賃貸業における必要経費の考え方

多数の物件を自ら所有し賃貸管理を行っている家主兼闘う税理士として活動していると、多くの不動産オーナーから問い合わせと相談を受けることになり、日々充実しています。

今回は、規模の大小にかかわらず、確定申告や決算において誰もが悩む領収書やレシートの支出が個人の場合は必要経費、法人の場合は損金算入にできるかどうかについて考えてみます。

家主や地主の収入は個人で申告する場合は、不動産所得になります。

2013年に東京国税局が管内(東京都、神奈川県、千葉県、山梨県)の不動産所得のある人、110万人の中から選定して『お尋ね』文書を郵送で送りました。私の顧問先でも5件くらいから問い合わせがあり、対応に苦慮しました。

5人のうち2人は税務署に返事を出してしまい、税務署から問い合わせが来ていました。

1人は減価償却費の計算根拠について。もう1人はその他の経費の内容についてでした。あとの3人は、返事をする前の相談だったため、 『お尋ね』は税務調査ではなく、法的な強制力はないと、返事を出さずに様子をみることで対応しました。

結果的にこれは正解でした。 “飛んで火にいる夏の虫”のようにならないことも大切です。ちなみにその後は、この『お尋ね』は送付されてきていません。

返事を出してしまった2人についての問題点は、主に自宅の分と不動産賃貸に関する分の明確な区分の問題でした。つまり、減価償却費について、例えば自宅の2階を賃貸する場合、当然自宅分の減価償却費、固定資産税、借入金の利子、火災保険料、修繕費、水道光熱費、登記費用や不動産取得税などは必要経費にできません。

逆に言えることは、賃貸部分の金額は必要経費にできるのです。自宅のうち、帳簿付けや領収書などの保存部分などスペース分に関する費用は、必要経費にできると考えられます。

もう一つ自宅分と分ける必要があるのが、交通費、通信費、交際費、会議費などの経費です。

収入と経費の明細を記入して、所得金額を求める青色申告決算書(不動産所得用)や収支内訳書(不動産所得用)には、あらかじめ印刷されている必要経費があり、青色申告決算書の場合、租税公課、損害保険料、修繕費、減価償却費、借入金利子、地代家賃、給料賃金、それ以外に空欄が五つあり、その他の経費となっています。

この五つの空欄とその他の経費に何を入れるかが重要になります。順当にいくと、①賃貸物件に関する(以下同じ)管理費②入居者募集の仲介手数料や広告宣伝費③水道光熱費④消耗品費⑤交通費⑥通信費⑦交際費⑧会議費となってきます。

ここで交際費、会議費はどのようなものが該当するのかという疑問がわいてきます。

バブルのころまでは家主の立場は強く、現在は0も珍しくない礼金が2カ月はとれ、部屋が空いた方がもうかるような時代でした。仲介業者からお願いされ接待されたほどです。それが今は皆さんが知っての通り、ビジネスライクとなり、家主が入居者あっせんのために業者を接待するほどです。

これは、れっきとした交際費、会議費に該当しますが、税務署の調査官からみるといまだに家主には必要がないと思っているフシがあります。この二つの項目は独立して記載せず、その他の経費または広告宣伝費などとして記載するのが得策です。

法人で不動産賃貸業を行っている場合を考えてみます。

不動産賃貸に関する法人は、物件所有法人とサブリースや管理を行っている法人に分けることができますが、経費の損金算入に関しての注意点は、三つの業態があってもさほど変わらないので、三つ合わせて不動産賃貸法人として考えてみます。

次回は、法人での損金算入の要件について考えてみたいと思います。

 

鳥山昌則税理士

プロフィール
税理士法人とりやま財産経営代表税理士。1959年2月12日、福井県勝山市生まれ。税理士を目指し上京。税理士、行政書士、宅地建物取引士、日商簿記一級、調理士、弓道二段の資格免許所持。自身も150億円800戸を所有する不動産オーナー。「闘う税理士」を 標榜(ひょうぼう)し、実践税理士としてのアドバイスには定評がある。

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