変わる契約条項

民法が約120年ぶりに改正され、4月1日から施行される。個人が保証人の場合、保証契約書に極度額の設定が必須となる。この改正によって、家主たちにどのような影響があるのだろうか。

時代に合う対応と明瞭化が目的

 2017年5月、民法の一部を改正する法律が成立した。債権関係の法律に大幅な見直しが行われたのは、民法が制定された約120年前の明治時代から初めてのことだ。

 今回の改正が行われた理由は二つあり、一つ目は明治時代から現代に至るまでの社会の変化に対応するためだ。二つ目は、これまで条文に記載がないものの、実務や判例上確立していた内容を条文に加えることで、国民にわかりやすい民法にするためだという。

 賃貸経営をする上で、改正で 変わる契約条項民法により何が大きく変わり、何が実務上変わらないのか、施行される前に把握することが大事だろう。今回は改正のポイント6つを中心に、改正内容や、今後家主がやっておくべきポイントを漫画でわかりやすく解説する。

 個人が保証人の場合は上限額の設定が必要

改正点:入居者と賃貸借契約を結ぶ際に個人の保証人を立てる場合、保証契約書に極度額(保証の限度額)の設定が必須になった。

 民法第465条の2が改正され、根保証契約時に個人を保証人とする場合、極度額(保証の限度額)の設定が必要となった。

 20年4月1日以降に保証契約を結ぶ場合、担保できる債務の合計額である極度額のない契約は無効になる。 これまでの民法下では、保証人は、入居者が家賃や原状回復費を滞納した場合、滞納分の全額を肩代わりする契約内容だった。このような保証契約を「根保証」という。

 この根保証が、個人を保証人とする場合、従来とは大きく変わることになった。背景は、無担保で融資可能な商工ローンにおける保証人への厳しい取り立てが行われたことが社会問題になったことだ。

 民法は04年に、貸金等債務に関する根保証について極度額の設定を必要とする内容に改正された。だが、賃貸借契約や売買契約などは貸金のない根保証契約だったため、当時は規制の対象外となった。

 今回の改正では、個人の保証人を保護することを重点とし、貸金の債務以外の根保証についても極度額を設定することになった。

極度額の目安は家賃1年分

 企業法務を中心に手掛ける武智総合法律事務所(東京都港区)の清水将博弁護士は、極度額の目安は1年分の賃料だと話す。「大体、家賃滞納が3カ月たったところで、退去へ動き、さらに3カ月後に強制執行の決着がつく。

 原状回復費用も含めると、1年分ほどの賃料が目安になると考える」(清水弁護士)。また、国土交通省は極度額に関する資料を作成して公表しており(表1参照)、中央値が12カ月分となっている。

 一方で、瓜生・糸賀法律事務所(東京都港区)の金田繁弁護士が「上限額は合理的な金額であることが前提。居室を壊されるなどのリスクを考えると国土交通省が出した平均値13・2カ月は極度額として安価。2年分の賃料相当額程度でも合理性が認められるのではないかと考える」と話す通り、専門家により見解は分かれる。

保証は個人から家賃債務保証会社に

根保証を広く制限することになった経緯の一つに、保証人が安易に契約してしまうことがあるといわれる。極度額を設定することの目的は、保証人が保証内容を具体的に考え契約できるようにすることである。

一方で、高い上限額を見ることで、個人の保証人はつきにくくなり、家賃債務保証会社がより一層利用されると予想されている。「今後の家主や不動産会社は、個人の保証人を見つけられなかった入居希望者のために、よい家賃債務保証企業を見つけてくることも、仕事の一つになると考える」と話す。

管理会社が指定する家賃債務保証会社以外に、家主が自ら探して管理会社に希望することもできる。家賃債務保証会社はどのように探せばよいのだろうか。方法のひとつとして、国土交通省が公表する『登録家賃債務保証業者一覧』から探す方法がある。

国土交通省の家賃債務保証登録制度は17年10月に施行された。同年12月の登録数は22社だったが、19年12月には69社が登録している。

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