急迫な事情の場合は入居者が修繕できる

改正点

急迫の事情があった場合など、入居者が居住部設備などを修繕できるケースが明文化された。

 これまでも民法第608条をもとに、入居者に原因がなく居住部のエアコンなどの設備が故障し生活に不具合が出た際は、入居者が修繕を行って家主に必要費として請求できていた。しかし、どのような場合において入居者の修繕を可能とするのかの規定は条文に記載していなかった。そこで今回の改正により、新設した民法第607条の2に明文化された。

 入居者が家主に対し、修繕が必要である旨を通知し、また家主がそのことを知っている状況にもかかわらず相当の期間に修繕対応をしなかった場合と、入居者に急迫の事情があった場合という、二つのケースについて触れられている。

 条文では、家主が不具合を知っからどれぐらいの期間で対応しなければならないか、どの程度から「急迫」とみなすのか、また不動産会社への通知要否などについては明確になっていないため、賃貸借契約書内に記載しておくとトラブルを防げるだろう。

不動産関係の法務を手掛けることぶき法律事務所(東京都新宿区)の塚本智康弁護士は「家主が不具合を知ってから相当な期間を経たにもかかわらず、修繕対応をしなかった場合、家賃の減額と、入居者が直した場合は修繕費、さらに家主が修繕しなかったことを理由に引っ越しした場合の引っ越し費用などが入居者から請求される可能性がある」と話す。

ことぶき法律事務所
(東京都新宿区)
塚本智康弁護士(41)

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