借金は元金と利息を分けて管理

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借金は元金と利息を分けて管理

賃貸経営で安定的な収益を得るためには、借金をコントロールできるかどうかが重要だ。借金のメリット、デメリットを把握し、借り入れ時に留意すべき点さえ把握していれば、リスクは回避できる。

レバレッジを利かす

不動産投資はレバレッジを利かせて資産を増やすことができる。レバレッジとは、借金をすることで少ない自己資金でも多額の資産を得ることだ。不動産購入資金を金融機関から融資を受けることで、サラリーマンでも不動産資産を増やすことができる。

一方で、地主であれば相続対策として、借金をしてアパートやマンションを建築するのが王道だ。金融資産を多く持っている地主だとしても、基本は借金をする。理由は、相続税対策になるからだ。

借金は相続財産から差し引くことができる。借り入れをして不動産に換えることで、財産評価を下げることができる。相続財産評価額が減れば、当然相続税も減らすことができるのだ。

一大転換点の「デッドクロス」

返済方式には二つある。 「元金均等返済」 と 「元利均等返済」 だ。家主の多くは「元利均等返済」で借り入れをしている。基本、月々の返済額が一定で返済しやすいからだ。金融機関にとっても元利均等返済の方がメリットがあるため、 勧められることもあるだろう。その理由は、元金均等返済よりも支払い利息が多くなるからだ。

例えば、8000万円を金利2%で30年間借りたとする。その場合の支払い利息合計は、元金均等返済では2406万円ほどになるのに対し、元利均等返済では2645万円ほど。借入金額、金利、返済期間が同じでも利息分が239万円も変わってくるのだ。

さらに元利均等返済で気を付けなくてはいけないのは、P21のグラフのように、購入(建築)当初は金利ばかりを支払い、元金がなかなか減らないことだ。利息は経費として計上できるが、元金は経費としては計上できない。そのため、課税対象額は年数が経過すればするほど多くなる。

一方で、減価償却費は大半の建物附属設備の減価償却が耐用年数の15年で終わり、建物の減価償却費のみとなるため、15年を機に一気に減ってしまう。

減価償却費はご存じの通り、実際は口座から出ていかない経費であり、節税効果も高い。だが、15年たったタイミングが、 P20下の「デッドクロス」(2007年4月1日以降取得の場合)のグラフのように元金返済額よりも減った場合、収支が悪化しやすいタイミングとなる。

元金と利息を分けて管理することは重要。デッドクロスを迎えてから借金返済が終わるまでの期間を耐えられるかどうかを見極めるポイントになる。

借金のメリット& デメリット

メリット

  • 現金で購入するよりも、早く不動産賃貸事業を拡大できる。
  • 借金で建物を建てることで、相続税対策になる
  • 自己資金では購入できない優良物件を購入しやすい

デメリット

  • 借入利息を支払わなくてはいけない
  • 不動産を担保に出さなくてはいけない
  • 資金繰りが悪化するリスクがある

専門家に聞く

物件購入の判断軸を持たないと融資が引けてもうまくいかない

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(東京都中央区)田中歩社長(52)

リーマン・ショック以降に不動産投資を始めた人の中に、フルローンが当たり前になり、他人の資金で資産を増やしていく手法が目立ち始めました。ただ、不動産は大きなサイクルの中で、いかにコストを抑えてインカム(収入)を増やすかが重要です。

収益不動産を購入しようと相談に来られる方には、NOI(営業純利益)や税引き後利益について知らず、投資の判断軸を持たない人が少なくないのです。NOIとは、家賃収入を得るためにかかった費用を差し引いて、実質的に得られる利益のことです。

このNOIと税引き後利益の経年に伴う動きを意識し、不動産を購入しないと、いくら融資が引けたとしてもその後がうまくいきません。経営者に必要な要素である、会計、ファイナンス、マーケティングの3つは押さえた方がよいでしょう。

2つの返済方式

 

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