入居者動向を知る上で、仲介の状況に関心を持っている家主は多いだろう。『全国賃貸住宅新聞』が行った「2021年繁忙期を振り返るアンケート調査」の結果をもとに、2021年の部屋探しの状況を紹介する。
明暗が分かれた2021年の繁忙期
2021年の繁忙期(1~3月期)は、首都圏や近畿圏では新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言下で迎えた。来店者が減り成約数が伸びなかった企業と、IT化推進により成約数を増やした企業とで、明暗が分かれた。
『全国賃貸住宅新聞』が全国の賃貸仲介を行う不動産会社に対して調査を行ったところ、21年の繁忙期の成約件数について、「大幅に増加」「増加」と回答した企業が36%、「大幅に減少」「減少」と回答した企業が37%とほぼ同等の数値だった。だが、20年の同調査では、「大幅に増加」「増加」が25%、「大幅に減少」「減少」が35%という回答状況(図1参照)だった。
21年は20年と比較し、「大幅に増加」「増加」という回答が10ポイント以上上昇。21年の繁忙期、各企業の業績は二極化の様相を呈したといえよう。特に、20年の繁忙期では、新型コロナウイルスの影響は3月以降に出たが、21年は首都圏が1月8日、近畿圏は1月14日に緊急事態宣言が発令され、外出自粛が叫ばれる中での営業となった影響は大きいだろう。
図2の「成約件数の増減の理由」のグラフを見ると分かるが、最も影響を与えたのは、「コロナ禍の影響」だった。次いで多かったのが「法人契約の増減」。法人契約については、コロナ禍により従業員の異動が減少していることで、法人仲介を強みとする仲介会社に大打撃を与え、軒並み成約数を減らしている。
注目したいのは、1番目と2番目に多く票を集めたのが減少した理由だったのに対して、3番目の「インターネット集客の強化」が、増加した理由としてランクインしたことだ。外出自粛などにより、来店前により多くの情報を集めようとする部屋探しユーザーが増え、画像の点数を増やすのはもちろんのこと、360度画像や動画などの掲載、さらにオンライン内見などを取り入れている事例もあった。
こうした取り組みの一環で、より自社サイトへの誘致が重視され、SNSの活用や地域情報の掲載を充実することなどを行い、成果を上げている企業の成約数が増えたようだ。