IDEAの泉

賃貸経営を成功させるためにオーナーが考え ア イ デ アなければならないことは多い。問題への対処、よりよい住環境の整備、入居者の要望など切り口はさまざま。その中でもちょっとした工夫で成果を得られた例を紹介する。

ウエルカムレターで出迎える。入居者の新生活を地図で応援

 横浜市で1棟6戸のマンションを妻の千尋さんと共に経営する榎本了三オーナー(横浜市)は、入居者向けにウエルカムレターを作成している。

 レターには何か心配なことがあればいつでもご連絡くださいという言葉とともに、部屋に置いてある消臭剤、駆虫剤、湿気取りなどの使用期限を記ウエルカムレターで出迎える。入居者の新生活を地図で応援している。「前の入居者が置いていったものではなく、家主が物件を清潔に保つために置いたものだとわかれば入居者さんの安心につながる」との考えだ。

 5年前、半年ほど空室期間が出てしまった。その空室期間後に入った入居者への感謝を込めてウエルカムレターを置いたのがきっかけだ。すぐに生活を始められるように、近所のコインランドリーや100円ショップなどの店舗情報、またバス停などを書き込んだ地図も添えるという。

 ウエルカムレターを置く際には、フローリングの拭き掃除も行う。一度入居したら家具が運び込まれるので部屋全体を掃除することはできなくなる。家具も荷物もない状態で最後の仕上げをして入居者を迎え入れたいという思いがあるそうだ。

入居者からは「おかげさまで安心して暮らせます」といううれしい反応が聞かれる。10年超の長期入居者を獲得できるのもこうした心遣いのたまものだろう。

改装・清掃費用の一覧表を作成。退去後は最短2 日で入居可能に

 京都市で185戸を所有する安田典史オーナー(京都市)は、換気扇交換やハウスクリーニングなど、日々の管理や原状回復の外注費用について項目ごとに一覧表を作っている。

 仲介会社・友人らから紹介された、信頼して取引のできる複数の会社と面談し、各会社の価格を提示してもらい、作成した。複数社と取引ができるうえ、あらかじめ見積もりを取る必要がないことで、退去後の改装・清掃にかかる時間の短縮が図れている。

 「必ずしも最安の業者に依頼するためのものではなく、退去のタイミングや次の入居までの期間を考慮して、得意分野を生かしてもらえる会社に依頼しています」(安田オーナー)

 6年前までメーンで改装・清掃を依頼していた会社があったが、修繕内容のすり合わせがうまくいかなかったり、都度見積金額が異なったりすることが起きてしまい取引をやめた。この経験から一覧表を作成したのだという。

 例えば、退去から入居までのスピードが大幅に短縮。早ければ退去2日後には入居可能な状態にできるようになった。退去月は1カ月分の家賃を退去者からもらい、もしその月のうちに新しい入居者が入ると、新しい入居者からの日割り家賃も入ることとなる。

別途、空室のうちに撮影しておいた動画を「ユーチューブ」で確認のうえ入居を決めてもらう工夫も7 ~ 8年前から行っており、相乗効果を発揮している。

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