他の入居者を退去させないように即対応

隣人がストレスためて退去警察と連携して解約促す

初めて1人暮らしをするといって入居した30代前半の男性会社員。異変が起きたのは入居2年目のことだった。突然「幽霊が出た」と騒ぎ始めたり、朝夜にぶつぶつと1人で話す声が隣や上に響くという苦情が管理会社ベルデホーム(埼玉県久喜市)に入るようになった。

熊切伸英統括部長が部屋の案内時に付き添った親に連絡すると、精神
的な病気を持っていることが判明。病気とはいえ、他の入居者に迷惑を
掛ける人には対応が必要となる。 本人に注意すると最初は低姿勢で謝ったが、2度目以降は「誰がそんなこと言うんだ」と反抗的な態度に。ただ、最後に「以後気を付けます」と言ったことから様子見をすることにした。

1カ月後、今度はぶつぶつという声の他に、どんどんとたたく音まで聞こえてくるようになった。隣の部屋の入居者がその音に反発するように、壁をたたくと急に怒鳴り声を上げ始め、警察沙汰になったという。それ以来、週1回の
割合で警察が出動するような事態が発生。その都度、熊切部長は現地に赴き、本人に強く注意した。

隣の入居者は怒りのあまり直接その入居者と対決。警察の仲裁で大事に至らなかったが、隣りの入居者は我慢ができなくなり退去することになったのだ。
彼のせいでさらに他の入居者に退去されては困ると熊切部長は、厳重に注意するようになった。ところが「生活音なのだから仕方ない」と言い出す始末。

家主と相談し、最後は裁判をも辞さないと決断した。顧問弁護士に相談する
と、ポイントは「受忍限度を超える音なのか」だった。熊切部長は退去した隣の住戸に泊まり込んで張り込み。翌朝、彼が大声を出し始めた。再三の注意にもかかわらず大声を出して他の入居者に迷惑を掛けている彼に、契約解除通知
を内容証明郵便で送った。

通知書を見て怒り心頭で同社を訪れた彼は契約解除には応じないという姿勢。だが、同社に呼んでいた警察官からも「裁判になる前に解約した方がいい」と促され、最終的には母親に連絡すると言ったら、解約に応じた。
10カ月もかかった案件だった。

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