真冬の夜中に断水の連絡

信用できないと引っ越し代要求

 2020年12月中旬。多喜裕介オーナーは、所有アパートが「断水した」と管理会社から連絡が入り、現地に急行した。連絡があったのは23時32分。管理会社よりも建物をよく知る自分が行った方が解決は早いと思い、現地に向かった。

  原因を探ると、受水槽の2系統の給水バルブがめちゃくちゃな設定にされていた。本来閉めなければならないバルブが中途半端に開いており、本来開いていなければならないバルブは閉まっていた。

 それにより、受水槽の水が空になり、断水した。誰かにいたずらされたようだ。原因が分かり、すぐに復旧。時刻は0時16分だった。

 再発防止策として、バルブのハンドルを外して簡単に操作できないようにした。すると、後日入居者から管理会社経由でクレームの連絡が入った。

 その入居者は「断水したときにちょうどシャワーを浴びていた。シャンプーを流そうとしたところ断水し、困って近隣に住む知人宅へ車で行って風呂を借りた。

 極寒の中、移動したことで、その後体調が悪くなった」と言ってきたのだ。さらに「今後も信用できないから家族と相談して、家主負担で引っ越しを考えている。菓子折りで済む話ではない。すぐに原因を説明しろ」というクレームだった。 

 典型的なクレーマーだと感じた多喜オーナーは、理屈で毅き然ぜんとした対応をすることにした。

 20年に改正された民法611条「賃借物の一部滅失等による賃料の減額等」と(公財)日本賃貸住宅管理協会(以下、日管協)の『クレーム・トラブル対処法増補改訂版』による賃料減額割合と国土交通省『民間賃貸住宅に関する相談対応事例集』(ガイドライン)をベースに説明。

 今回の断水は民法611条に抵触しない。日管協のガイドラインでも風呂が使えない場合と水が出ない場合、それぞれ免責日数は3日と2日に設定。

 今回のケースでは1時間もかからないうちに復旧したことから、賃料減額等の負担を家主がする必要はない。以上のことを踏まえて、このレベルの事故対応で信用できないのであれば引っ越ししても構わないが、費用負担は一切しないし、原状回復費用は請求する。さらに、それでも何か不当に要求するのであれば、「弁護士に相談して必要なら訴状でもなんでも送ってください」ということを管理会社から入居者に説明してもらった。結果、その入居者は退去しなかった。

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