家主の会代表インタビュー

コミュニケーション能力を生かして家主業時代の変化に対応して常にチャレンジ

 地主だった父の土地の上に相続税対策で28戸のファミリー向けマンションを建て、サラリーマンと兼業で家主業を継いだ松浦昭オーナー(大阪府堺市)。1985年の建設当時は「空室が出たら教えて」と近所の人に頼まれるほど需要が勝っていたが、それから35年、バブル崩壊や新築物件の供給増などの波にもまれ周辺の入居率が平均80%という中でも、満室経営を保ってきた。 

 物件は大阪市内の東に位置し、地下鉄の駅から徒歩5分と駅近にもかかわらず、周辺は空室率が高い。決して条件は良くない地域にある。そんな中で満室経営を行えているのは、松浦オーナーがサービス業で培ったコミュニケーション能力を生かすとともに、時代の流れを読んで常に先手で対策を打ってきたからだ。

 松浦オーナーは大卒でアパレルメーカーに入り、百貨店などのルート営業で営業のいろはを身に付け、外食産業に転身して15年間働いた。初めは飲食店でホールや調理などを1年半経験して本部勤務になり、開発室で出店や新業態の企画を行っていたという。

 「ターゲットを絞ってリサーチし、どこにお金をかけるか考えてメニューを開発し、店舗レイアウトや内装を決めていく。これが家主業にとても役立ちました」 所有物件は建設当時、和室2間、洋室1間でLDKが10・5畳のオーソドックスな3LDKのファミリー向けマンションだった。

 それを「子どものいない新婚向け」に絞り込み、退去のたびに1LDKに改装していったことが奏功した。 同時に思い切った先行投資も行っていった。一棟丸ごとインターネット無料のサービスは15年以上前に始めた。退去を避けるために、インターネット環境にもこだわって設備は更新する。関西電力から電力の一括購入を行い、入居者は電気料金5%割引というサービスも行っている。

 数百万円の設備投資が必要だったが7年で回収できた。防犯にも力を入れ、共用部には10台の監視カメラを設置しており、警察に画像提供して空き巣が捕まったこともある。

「とにかく時代の流れを読んで、先手、先手を打つことが大事。失敗は成功のもとと捉えて、空き巣に入られた経験から家財保険も見直しました」。当時入居者任せだった家財保険が切れていたため、リスクヘッジとしてオーナー自ら各戸の家財保険を肩代わりし、保険なしで入居できるというウリに転じさせたのだ。

 メール機能付きの携帯電話を持ったときから、携帯電話番号やメールアドレスは広く開示した。現在は入居前にLINEやショートメールであいさつを送り、「24時間365日いつでもご連絡ください」と伝える。これで信頼関係の第一歩が築ける。

「クレームも大歓迎。しっかり対応するとむしろ熱心なファンになってくれるからです」。

 主宰する『がんばる家主の会』で商品紹介をしたいという業者の営業電話にも、まずは話を聞くために会ってみるのだという松浦オーナーは、困り事の相談や勉強を一緒にしたいとインターネットの黎れ いめい明期にメーリングリストをつくり、全国に家主仲間ができた。2003年に専業大家になると自主管理の孤独を感じ、リアルで顔を合わせてやりたいと05年に立ち上げたのが『がんばる家主の会』だ。現在会員は600人に増え、月1回250人もの人が参加する勉強会を開催している。

 新型コロナウイルス対策として直近では『Zoom』勉強会を開催し、懇親会も『Zoom』上に切り替えた。「パソコン上で顔が見えるように12、3人で10回ほどに分けて懇親会を行ったが、これがすごくいい。普段の懇親会より少人数で話すので、かえって会員同士が親密になった。今後も続けていこうと思っています」。

 新型コロナウイルスの第2波に備え、この2、3カ月で借り入れなどを行いしっかりと準備をしていく予定だ。「いつもラッキーだった」と話すが、それは十分な対策を取ってきた結果ともいえる。時代の変化を恐れずにチャレンジしていきたいという御年73歳の松浦オーナーだ。

がんばる家主の会
松浦昭オーナー(73)
大阪府堺市

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