家主の会代表インタビュー

居住部が広く見える工夫を施す人を招ける部屋にして満室経営

入居者が友人などを招き自慢できる部屋づくりをすることで、首都圏に所有する30戸を満室にしている佐藤哲夫オーナー(東京都北区)。内見者の視線の移り方を意識し、部屋を実面積よりも広く感じさせる内装や間取りにしている。

20歳で父親と死別し、家計に苦労した母親から「収入源は二つ持った方がよい」と教えられた佐藤オーナー。母方の実家が家主だったこともあり、薬剤師となった20代の頃から賃貸経営に関心を持った。そしてバブル崩壊を契機に、働きつつ賃貸経営を始めた。

情報源ない手探りの賃貸経営勤め人の知識生かし法人化

 初物件は、新聞の折り込みチラシで紹介されていた都内の新築区分マンションの1戸だった。1990年ごろは、賃貸経営についてのセミナーなどがなく、手探りでの賃貸経営となった。

 二件目は、行政による区画整理が完了し建築可能となったため、親が所有する埼玉県大宮市の土地に全4戸のファミリー向け木造アパートを新築。その際、法人化した。相続税対策を理由に法人化する地主は多いが「サラリーマンとして働いていたため、税率が低く、収支の流れを明確にできる法人化にメリットを覚え、取り入れた」と理由を語った。

トレンドを探って取り入れつつ居住部が広く見える工夫施す 

 法人化を契機に、新築やオーナーチェンジで物件取得を進め、規模の拡大を図った。そのさなかの2000年ごろ、賃貸経営セミナーが社会一般に登場しだした。佐藤オーナーも参加。会場にいた他の家主と親睦を深め、共に勉強を始めた。

 セミナーや家主仲間との交流を通し、住宅や設備のトレンドを意識するようになったという。 そのころは単身者向け物件を新築した場合、居住部が16~18㎡の狭小物件や、3点ユニットを導入するケースが多かった。

 21年の現在では、狭い3点ユニットの物件は成約しづらいことは周知の事実だ。だが住み心地を考え、それを懐疑的に思った佐藤オーナーは、自身で間取りや設備を考えた物件づくりをしたいと思うようになった。

 そこで、10年ごろに東京都北区に土地を取得し単身者向け耐火木造アパートを新築。ワンルームで専有面積は20㎡だったが、キッチンの流し台の下を工夫することで広い部屋に見せた。通常は配水管を隠しすため扉付き収納となるシンク下のキャビネットをなくし、シンクとIHヒーターだけにしたのだ。

 玄関から見渡すと、床が部屋の向かい側まで一直線に見通せるようになり、20㎡以上の広さを感じさせることに成功した。また当時、珍しかった半畳ほどのウォークインクローゼットも導入。

 近隣に専有部が25㎡の新築RC造の競合物件があったが、広く見せる工夫と、木造のためRC造と比べ家賃が低価格であることを理由に、社会人単身者が成約。1カ月以内に満室となった。

 「ターゲットは20~ 30代の単身社会人と決めていた。この層は働いていることから、家賃滞納が少ないと考えた。入居者の属性を保つために、家賃が5万円を切らないように空室対策を意識している」(佐藤オーナー)

ベテラン家主向けの会でデジタル化を推進

 佐藤オーナーはさまざまな家主の会に所属していた。だが、不動産投資の過熱とともに初心者家主が増え、初心者向けセミナーが大半を占めるようになり物足りなさを感じるようになったという。

 そこで14年にベテラン家主が集う一般社団法人日本不動産経営協会に入会し、20年に代表理事となった。「時代に即した賃貸経営」を意識する同会。関東以外の他地域の家主の会との情報交換・交流や、会員間でのSNSを通じた交流を積極的に図っていきたいと会内で決まり、家主歴が長く顔が広い佐藤オーナーに白羽の矢が立ったのだ。

「緊急事態宣言をきっかけに20年5月から月例会をオンライン中心で実施している。また、21年は実施できるか不確定だが、他の家主の会と交流を広げていく予定だ」(佐藤オーナー)。

一般社団法人日本不動産経営協会
東京都北区(64(佐藤哲夫オーナー)

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