令和3年度税制改正の要点解説

家主・地主が毎年注目する税制改正大網が発表された。コロナ禍の影響を踏まえた固定資産税の据え置き、住宅取得時贈与の最大以下税枠の延長や要件緩和が主な改正点だ。専門家の解説とともに要点を紹介する。

令和3年度税制改正ポイント

①固定資産税の据え置き
→ほぼ全ての土地が対象に

②住宅取得時の贈与税非課税の
 延長と対象の面積要件緩和
→40㎡台などシングル向け
 住宅取得時にも活用可能

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コロナ禍の影響踏まえ固定資産税を据え置き

 2020年12月に発表された「令和3年度の税制改正大綱」のポイントとして、①固定資産税の据え置き②住宅取得時の贈与税非課税の延長と対象の面積要件緩和の二つが挙げられる。

 ①固定資産税の据え置きは、コロナ禍の影響を踏まえ、令和3年度の固定資産税を令和2年度の税額に据え置く内容だ。 商業地においては、固定資産税の負担水準が60%未満、宅地と農地においては負担水準が100%未満の土地について固定資産税の課税標準額を前年度と同額にする。 

 負担水準とは、課税標準額が固定資産税評価額と比較してどの程度の水準にあるかを示す指標をいう。負担水準の影響が大きいのは商業地だ。令和2年度に関しては負担水準が60%未満の場合、税金が上がることになっていた。 

 松木飯塚税理士法人(東京都港区)の飯塚美幸代表社員は「宅地と農地に関しては、ほぼ全てが据え置きの対象になります。商業地で負担水準が60%以上の場合は今回の措置の対象外ですが、多くの自治体では60%以上の商業地は既に前年度据え置きが措置されており、結果的に据え置かれるでしょう」と解説する。

 土地保有者は、手元の令和2年度の負担水準を確認の上、21年4月に、各市町村役場や都税事務所で、評価額や課税標準の閲覧に行くのがよいという。「コロナ禍を考えれば、据え置きでなく、政策的な減額措置が欲しいところです」(飯塚代表社員)

贈与非課税住宅の要件緩和40㎡台シングル向けも対象

 ②住宅取得資金贈与の非課税枠は、令和2年に引き続き最大1500万円とする。非課税枠については下図を参照してほしい。新たな変更点は床面積の要件緩和で、従来は50~240㎡だったのが、贈与を受ける側の所得が1000万円以下であれば40㎡から対象となる。

 今回、住宅取得時贈与対象の住宅が40㎡台からになり、賃貸住宅のメーンターゲット層であるシングルが居住する1Kや1LDKにも活用できる。それにより、資産家が子どもに贈与資金を提供し、贈与を受けた子どもが一定期間居住ののち、賃貸住宅として貸し出す形での節税手法を使うケースも出てきそうだという。

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