自主管理に向いている家主とは?

賃貸経営をする家主にとって、自主管理にするか管理委託にするかは迷うところ。

例えば、自主管理にして、管理委託費用を節約して手残りを増やしたいと考える家主、

あるいは、自主管理を続けてきたが法改正や入居者ニーズの変化に対応するのが大変なため管理委託にしようか考えている家主もいるでしょう。

「家主と地主編集部」では、家主のタイプによって、自主管理と管理委託どちらの選択が良いのか? 適切な判断をするための情報をまとめましたので参考にしてください。

自主管理

賃貸業における自主管理の定義とは、「管理を管理会社に委託せず家主が自主的に管理すること」です。

賃貸を管理会社に委託すると管理委託費用は家賃の約5%程度掛かるのが相場です。

そのため家賃収入を増やすために委託管理費用を掛けず自主管理を選ぶのも一つの選択肢となります。大家さんがアパートやマンションを自主管理する場合、発生する管理業務は以下の3つになります。

  • 契約管理業務
  • 清掃業務
  • 設備管理業務

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

契約管理業務

契約管理業務とは、以下の4つに分類できます。

  • 賃料などの徴収
  • 運営・調整
  • 契約更新
  • 契約終了

民法第611条により建物や設備の不具合で生活が困難になった場合、家賃は軽減されるという新しい規定が定められました。

設備が故障すると当然家賃減額の対象となり減額料や減額期間について入居者と協議をする必要があります。法律の知識をきちんと身に着け適切な対応をする必要があり、対応方法を誤るとトラブルが長引くことになります。

入居者の要求は年々細かくなっており、建物や設備の苦情などへの対応が難しくなっています。例えば、対応が難しい案件として以下のような苦情の事例が挙げられます。

「エアコンが故障したせいで赤ちゃんがあせもになったから治療費を払って欲しい」

「給湯器が故障したせいでお風呂に入れないのでホテルに泊まる。宿泊費用を払って欲しい」

「修理に立ち会うのに会社を休むため休業補償をしてほしい」

家主の立場からすると設備費の故障などだけでなく、それに付随したトラブルへの補填が要求されています。

「賃料などの徴収」

  • 賃料などの徴収
  • 未収金の催促

「運営・調整」

  • 共用部などにかかる電気代などの支払い代行
  • 入居立ち合い
  • 建物、設備の苦情などへの対応
  • 借主らからのその他の苦情などへの対応
  • 有害行為に対する措置

「契約更新」

  • 賃貸借契約に基づく貸主と借主との間の連絡調整
  • 官公庁などへの届け出事務の代行
  • 台帳の管理など
  • 空室管理
  • 借主の更新意思の確認
  • 新賃貸条件の提案および交渉

「契約終了」

  • 解約に伴う借主と貸主との連絡調整
  • 明け渡しの確認および鍵の受領
  • 住戸部分の原状回復についての借主との協議
  • 敷金の清算業務

清掃業務

清掃業務は共用部と屋外の清掃です。ゴミ収集の問題は、共有のゴミ捨て場があっても、曜日や分別を無視して廃棄する入居者もいるので悩ましい問題になりやすいです。

共用部

  • 掃き掃除
  • 紙くずなどの処理
  • 拭き掃除
  • 水洗い処理
  • ワックス掃除
  • ガラス拭き
  • ドア拭き
  • 排水溝掃除
  • 金属磨き
  • ごみ収集用ポリ容器洗い
  • 灯具掃除

屋外

  • 除草
  • 落ち葉の片付け
  • 放置物やゴミへの対応

設備管理業務

設備については法律や条例で義務付けられている点検があります。例えば、消防・防災設備については、アパートやマンションなどの共同住宅は消防用設備などを設置しなくてはいけません。

火災報知設備や誘導灯などの消防用設備などは確実に作動する必要があるため、半年に一度の点検が義務付けされています。さらに3年ごとに消防長または消防署長に報告をしなければいけません。

エレベーターは建築基準法第12条の第3項に戻付き定期検査が義務付けられています。

検査者が1年ごとに「国土交通大臣が定める基準に適合しているかどうか」を調べてその定期検査の結果に基づいて定期検査報告書を作成し特定行政庁に報告する義務があります。

またそのとき作成された資料は3年以上保管する必要があります。

  • 建物の点検
  • 屋外施設の点検
  • 電気設備の点検
  • 給排水衛生設備の点検
  • テレビ共聴設備の点検
  • 消防・防災設備の点検

管理委託

管理委託とは、アパートやマンションを自主管理する場合に家主がやらなければならない仕事である契約管理業務、清掃業務、設備管理業務」を、管理費用を支払うことで管理委託会社に委託することを言います。

管理費は通常、家賃の約5%が相場といわれていますが、管理業務をどの範囲で委託できるかは、管理会社によって異なるため、管理契約書に管理業務の内容がどのように記載されているのかを確認することが重要です。

また契約管理業務内にある契約更新については通常の管理費に含まない会社も多くあります。

自主管理と委託管理のメリットデメリット

自主管理

アパートやマンションを自主管理した場合のメリットやデメリットは以下の通りです。

メリット 

  • 管理費を節約できる
  • 賃貸経営全般を把握しやすい
  • 入居者との関係性が深くなる
  • 取引業者に自ら発注するので全体の運営コストを抑えられる

デメリット 

  • 全て家主自身が対応しないといけない
  • 賃貸経営の基礎知識をはじめ制度改正など情報収集しないとトラブルにつながる可能性がある 
  • 深夜、休日関係なく直接対応しないといけないことがある
  • 不動産会社と上手に付き合わないと募集が大変

委託管理

アパートやマンションを委託管理した場合のメリットやデメリットは以下の通りです。

メリット 

  • 契約や退去の手続き、滞納催促、入居中の問い合わせ対応をすべて行ってくれる 
  • 苦情によるストレスが少ない
  • 賃貸経営に拘束される時間が少ない

デメリット

  • 管理費が経費として掛かる
  • 管理会社との意思疎通がうまくいかないとストレスがたまる
  • リフォームや原状回復などの費用が自分で発注するよりも割高になる
  • 管理会社によって対応レベルが異なる

自主管理に向いている家主

アパートやマンションの賃貸管理をする家主で自主管理に向いている家主は、コストカット重視、物件に近い、現場が好きな方です。

コストカット重視

アパートやマンションの自主管理の一番大きなメリットは管理委託を外部に任せる場合の委託費用を削減できるところです。管理費は一般的に家賃の5%程度なため、仮に家賃収入が毎月100万円であれば5万円を管理委託費用として支払うことになります。

年間であれば60万円を支払うことになります。そのため自主管理にすれば年間コストの60万円を節約することができます。

また管理会社経由で行うリフォームや原状回復費用は、管理会社の方が手配などの手間が掛かる分割高になります。

物件に近い

アパートやマンションを自主管理の場合、入居者や物件に何かトラブルがあれば自分で直接出向く必要があります。夜中に水漏れが発生したとか、鍵を落としたなどすぐ対応が必要な場合に即座に対応する必要があるからです。また物件や入居者に直接話す必要があることも起こりえます。

そのため、物件が遠隔地にあったり、戸数が多いと体力的にきつくなります。自宅から物件まで1時以上かかる場合は管理会社に委託したほうが良いでしょう。

サラリーマン家主の場合は遠隔地に不動産を所有するケースが多く、本業もあることで即時の対応が難しいことから、自主管理は選ばないケースが多く見られます。

現場が好き

アパートやマンションの自主管理に向く人は賃貸経営の現場が好きであるということも大きなポイントです。例えば自分でいろいろなアイデアを持ち試したいと考える人、入居者と交流することが好きな人、賃貸経営そのものを自身の人生を豊かにする仕事としてとらえている人。

現場が好きでなければ、管理費を支払い管理会社とのやり取りを仕事にした方が良いでしょう。家主になった目的が自由に使える時間を確保するためであれば、管理委託をした方が良いと言えます。

時間、コスト、賃貸経営の現場が好きかどうか?身体経営の現場に自分の時間やエネルギーを使うことに価値を感じるかどうか?が自主管理をするかどうかの考慮要素になります。

交流方法

アパートやマンションを自主管理をする場合、入居者とどのように交流するかを、事例をもとにご紹介します。

SMSやLINEを利用

以前は、入居者との連絡は電話でしたが、現在ではショートメールのSMSやLINEなどが利用されています。

SMSやLINEであれば、大家さんも入居者側も時間のあるときに内容を送ったり確認できる手軽さがあります。

高齢者の場合は、LINEになじみがない場合が多く、その場合は電話番号さえわかれば送れるSMSが便利です。

自主管理の場合、管理会社の役割として24時間対応する必要がありますが、緊急性が高い場合は電話、そうでない場合はSMSやLINEなどに振り分けることができます。

SMSやLINEは困ったときのホットラインとしての役割を果たします。

掃除中の挨拶

家主と入居者が直接接点を持つ多くの場合は大家さんが共用部分の掃除や部屋のリフォームなどをしているときです。

最も基本的なコミュニケーションはあいさつ。あいさつはハードルも低く、しかも、その効果は大きいです。

あいさつが雑談に発展し、入居者のお困りごとの相談に乗ったり、改善点が見つかったり、不動産関連のさまざまな情報を仕入れるきっかけにもなるのです。

掲示板活用

共用部に掲示板を使用して、季節のあいさつや連絡事項を伝えます。この方法は多くのファミリーマンションでみられます。

賃貸物件を借りて後悔する1位は騒音トラブル。隣接住戸や上下階の住民の騒音が原因です。そんな時にも掲示板は注意喚起の場になります。

家主が入居者とのコミュニケーションを上手にとることで、大きなトラブルになる一歩手前で目を摘み取ることも可能になるのです。

共用部での配布

家主にとっては入居者はお客さまです。共用部を利用して、入居者に家主の気持ちを伝えるために直接あいさつをしないまでも、気持ちを伝えるために贈り物を活用する家主もいます。

例えば、

  • エントランスのスペースに節分用の豆まき
  • クリスマスならチョコレート
  • 近くの畑でとれた新鮮な野菜を
  • カタログギフト
  • 子ども用のおもちゃ

贈り物で気持ちを伝えることで、そこから交流に発展させ、何かお困りごとがないかを確認していくこともできます。

また入居者に、お中元やお歳暮、誕生日プレゼントを贈る家主もいます。

特に一人暮らしの入居者には、身近に気にかけてくれる家主がいることが伝わるので心強いと思ってもらえるでしょう。

家主のコミュニケーションによる働きかけから、ささいなトラブルでもすぐ連絡が入るような関係づくりをしておきます。 

「入居者と直接かかわることで余計なクレームが増えるのではないかと心配したが、定期的に顔を見て話すことでトラブルは激減した」と話す家主もいました。 

管理会社を選ぶ基準

アパートやマンションの賃貸業において大半が自主管理ではなく管理会社を選んでいます。管理会社を選ぶ場合は、管理会社には得意不得意があるという点に注意しましょう。管理会社には以下4種類があります。

  • ハウスメーカー系
  • 仲介チェーン系
  • 地域密着系
  • 投資用物件販売系

ハウスメーカー系はブランド力がある、仲介チェーン系は集客力が強い、地域密着系は独自のノウハウがある、投資用物件販売系であれば、次の購入につなげやすいなど、それぞれ強みが異なります。

また、新型コロナウイルス流行下では、仲介・管理にも非対面の仕組みが広がりました。

管理会社に内見の問い合わせがあれば、空き室確認の電話の手間をかけずに、営業時間外であっても24時間365日対応できる自動応答サービスの導入もされています。

またVRという直接部屋を確認しなくても部屋を確認できるサービスの導入も。

管理会社の強みを把握し、自分の意向に合った会社とお付き合いできるようにしましょう。

まとめ

アパートやマンションを自主管理をすれば、管理委託の場合の以下の業務を家主自身が行う必要があります。

  • 契約管理業務
  • 清掃業務
  • 設備管理業務

自主管理では、法律知識の習得や、入居者への多岐にわたる対応について負担が大きいため、管理委託料を支払い管理会社に委託する大家さんが多いのも頷けます。

管理委託料の節約になることから自主管理の方が良いのではないか?と迷っている場合は、管理会社に任せる前に一度ご自身で自主管理を行ってみる方法もあります。

管理業務を実際にやってみて、自分で続けられるのかどうかを見極めてから、管理業務をどの程度委託するのかを決めることもできます。

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