注目企業PICK UP!:共同所有、空き家を買い取り

賃貸経営トレンド

ネクスウィル
共同所有、空き家などの不動産を買い取り

親族と共同で所有していたり、再建築不可だったりする不動産は、利活用や売却が難しい。ネクスウィル(東京都港区)では、そのような不動産を専門に買い取り、リフォームを施して流通させるビジネスを展開。中古不動産の流通促進に取り組んでいる。

ネクスウィル(東京都港区)
丸岡智幸社長(41)

年間2760件の反響 相続登記義務化で需要増

 買い取り再販事業を手がけるネクスウィルは、空き家や再建築不可、共同所有などの「訳あり不動産」を専門に買い取るサービス「ワケガイ」を展開している。

 底地や事故物件も含め、一般的に売却が難しい不動産をネクスウィルが査定し、買い取る。2020年10月に専用サイトを開設。23年は年間で2760件の問い合わせがあり、そのうち188件を買い取った。買い取り物件の半数は空き家で、残りの3割が共有関係にある不動産、2割が底地や再建築不可物件だ。買い取った物件は必要に応じてリフォームを施し、投資家に売却する。

 買い取りに必要な書類がそろっていれば、最短3日で買い取りを行う。相続登記の相談にも応じる。所有者が複数人いる場合は、弁護士と連携して所有権を整理したうえで売却する。

 空き家や所有者不明の不動産が増えることを防ぐため、24年4月より相続登記申請が義務化された。相続登記を機に、親族と共同で不動産を相続していたことを知る所有者が増えると予想されることから、同社は今後も訳あり不動産への対応ニーズは高まると考える。

 22年2月には、空き家を個人間で売買できるプラットフォーム「空き家のURI・KAI(ウリカイ)」を立ち上げた。売り物件をネクスウィルが無料で査定するサービスも付帯し、必要に応じて買い手の知りたい情報を補足することで売買成立を支援する。売買契約書のフォーマットも提供。成約時に買い手から手数料を得る仕組みで運用する。23年末時点で、総掲載数200件のうち50件のマッチングが成立した。

 24年4月期の売上高は15億円。25年4月期は、共有持ち分や空き家売買の案件が増えることを見込み、30億円を目指す。丸岡智幸社長は「相続やペアローンによる購入などで不動産の処分に困る人は多い。当社が解決の一助になりたい」と話す。

 24年6月には、岩手県紫波町が実施する「民間提案制度事業」に採択された。地元の不動産事業者とも協力し、放置された空き家の流通を促進していく。

(2024年9月号掲載)

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