Focus 〜この人に聞く〜 100年企業の安定経営支える不動産

賃貸経営不動産投資

100年企業の安定経営支える不動産
時代の変化に対応できる資産は武器

ビジョンに「日本一多くの100年企業を創り続け、1000年続くコンサルティングファームになります」を掲げ、事業を展開するのが、TOMA(トウマ)コンサルタンツグループ(東京都千代田区)だ。同社を創業した藤間秋男会長は、中小企業の事業承継・100年企業創りの専門家として、多くの老舗への取材経験をもとに、セミナーや経営アドバイスを行っている。藤間会長に企業を永続させていくために必要な不動産の在り方について話を聞いた。

TOMAコンサルタンツグループ(東京都千代田区)
藤間 秋男代表取締役会長 公認会計士 税理士(72)

――藤間会長は100年企業創りコンサルタントとして、多くの老舗企業と関わりを持っています。老舗として永続的に経営できるポイントは何ですか。

 老舗企業に見る共通点は、変わらないものと変わるものをしっかり持っていることです。変わらないものというのは、経営理念の承継のことで、企業理念やのれん、家訓などを指します。もう一つの変わるものとは経営革新です。事業内容や販売方法、顧客の変更や資産の有効活用があります。

――老舗企業は創業者の思いが引き継がれています。一方で、時代が変わると、人気商品もニーズがなくなることがあります。

 例えば、老舗のり店。お中元、お歳暮では高級なのりが重宝されました。ところが、近年はお中元、お歳暮の受け取りを断る企業も出てきており、その分の売り上げが減少しています。ただ、目を外に向けると、韓国のりは海外の市場を席巻しています。企業は生き物であり、時代の流れとともに変えていかなければならないのです。

――同じ商品を販売していくにしても、営業方法の変更や市場開拓などは必要ですね。

 企業経営は先行き不透明です。だからこそ重要になってくるのが、不動産賃貸事業を一緒にやっていくことなのです。老舗企業を業種別で見ると貸事務所業が最も多いです。古くから保有する不動産を活用し、オフィスビルなどを建てたことで本来の主業よりも貸事務所の収益ウエートが大きくなるケースが多いからです。

――老舗企業にとって長年保有し続けている土地や建物は大きな財産ですね。

 だからといって、不動産だけをやったほうがいいというわけではありません。安定収入を得られるからこそ、本業でいろいろなチャレンジができます。不動産は管理を管理会社に任せることができるので、実際はそれほど手がかかりません。拘束時間が少ないうえに、収入が安定しているストックビジネスの不動産賃貸事業を会社経営の第二の柱に据えることが企業永続のために重要なのです。

――新規で不動産購入するのはどうですか。

 本業がもうかってもいないのに多額の借金で購入してはいけません。購入するなら、身の丈に合う金額にしたほうがいいです。そして不動産は持ち続けて安定的に収入を得ることがポイントになります。

(永井ゆかり)

藤間 秋男代表取締役会長 プロフィール

1952年東京生まれ。慶応義塾大学卒業後、大手監査法人勤務を経て、82年藤間公認会計士税理士事務所を開設。税理士、会計士、社労士、行政書士など、200名の専門家グループTOMAコンサルタンツグループを構築し、17年に親族外へ事業承継を行い会長に就任。100年企業創りをライフワークとし、中小企業が永続発展するための経営アドバイスで好評を博す。セミナー講師は累計2000回超の実績。事業承継関係の著書多数。

(2024年12月号掲載)

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