【連載】海外各都市の不動産投資:アメリカ・サンノゼ:12月号掲載

賃貸経営不動産投資

アメリカ・サンノゼの不動産事情

テック企業が集中する都市

 米国西海岸カリフォルニア州のサンフランシスコ周辺は、世界のIT産業やAI革命をリードする、極めて裕福な地域です。スタンフォード大学のお膝元であり、 アルファベット、アップル、エヌビディアなど、世界の時価総額トップ10に入る巨大テック企業が集中。地球上でほかに例を見ない、革新的技術やビジネスが生まれる場所です。サンフランシスコ市内では無人タクシーが多数運行しており、近未来感があふれています。

 サンフランシスコ半島の先端部にあるサンフランシスコ市は歴史が長く、文化の豊かな港町です。その市街地が時代とともに拡大し、サンフランシスコ湾を渡った東岸のオークランド、南岸に広がるサンノゼなどを形成しました。それら全体がベイエリアと称され、人口は700万人以上に上ります。さらにサンノゼの北側一帯には巨大テック企業の本社や研究所が集中し、その一帯がシリコンバレーと呼ばれています。

 シリコンバレーで働くIT技術者には、年俸3000万円以上の高所得者が多数います。2010年代には彼らがこぞってサンフランシスコ市内に移り住みました。坂だらけで平地が少ない同市内は賃貸住宅の供給が乏しく、そこに裕福な人が大挙して流入したため、家賃が急騰。日本でいう2LDKアパートの家賃が50万円を超え、住宅を借りられない人がホームレスになるなど、社会問題になりました。

▲サンノゼ市内の商業地区サンタナ・ロウのショッピングモール

コロナ禍で戸建て価格上昇

 それが転換したきっかけが20年のコロナ禍です。コロナがまん延しやすいサンフランシスコ市内のアパートから、居住スペースに余裕のあるサンノゼ方面の一戸建てに移り住む人が増えました。コロナ禍で観光客と居住人口が減少したサンフランシスコ市内は、飲食店・小売店の多くが廃業し、治安も悪化。不動産価格は一時期下落しました。

 一方で、サンノゼは居住人口が増えて不動産価格が上昇し、一戸建ての不動産価格中央値は、今やサンフランシスコを上回っています。サンノゼはシリコンバレーに近く、国際空港もあり、ロスガトス、クパティーノ、マウンテンビューなどの戸建て価格中央値が200万ドルを超える富裕地区に囲まれ、不動産価格が底堅い地域です。近年では、サンノゼを代表する商業地区サンタナ・ロウの発展が目覚ましく、サンフランシスコのユニオンスクエアと並び称されるようになっています。

PROFILE
アジア太平洋大家の会 代表 鈴木 学

海外不動産に精通し、6カ国語を操るアナリスト。国際不動産エージェントの取締役としても多数のセミナーを主催する。自身も6カ国で物件を所有し、投資・経営を行うグローバル家主。

(2024年12月号掲載)

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