注目企業 PICK UP!:建築家コンペで無二の物件を実現

土地活用賃貸住宅

建築家コンペで無二の物件を実現
事業計画からリーシングまで伴走

ピーエムプラス

 京都で140年の歴史を持つ建築会社のニカク工務店(京都市)の子会社・ピーエムプラス(同)は、建築家が設計する個性的な賃貸住宅の建築を支援するサービス「プラットフォーム」を展開している。高付加価値で長期的に安定稼働する物件づくりをサポートする。

ピーエムプラス(京都市)
伊庭久裕専務(61)

 

一貫支援で計画通りの建築 物件の個性で高付加価値実現

 プラットフォームは、事業計画、設計、建築、リーシングを一貫して支援するサービスだ。不動産コンサルティングの経験に基づき、コンペティションを通して高収益物件を設計する仕組みをつくった。設計時のコンセプトを施工会社や仲介会社に伝え、事業計画通りの建築・リーシングを支援する。
 同社は、長く入居者に選ばれる物件づくりのためには建築時点での差別化が重要だと考える。そのため設計の段階でコンペティションを行う。約20人の登録建築家に事業計画を提示し、3人の応募を集めてコンペを開催する。登録建築家は、親会社のニカク工務店と共に仕事をしてきた人たちが中心だ。
 「規格品とは違った、個性ある物件だからこそ『どうしてもここに住みたい』という入居者に選んでもらえる。年がたっても値下がりしない、高付加価値な物件づくりを支援していく」(伊庭久裕専務)

費用のチェック徹底 空室時の賃料補填も

 コスト削減も徹底する。コンペで選んだ設計で複数の建築会社から相見積もりを取る。建築家とピーエムプラスが見積もりを確認し、無駄な費用を省く。
 建築予定地のマーケティングやリーシングもサポートする。募集開始後3カ月で満室にならなかった場合は、ピーエムプラスが空室分の賃料を補填ほてんする。
 プラットフォームの利用料金は建築費の10%で、物件オーナーが負担する。マーケティングの段階で事業性が見込めなかった場合はコンペには進まず、費用は発生しない。

▲プラットフォームの仕組みを使って建築した「A-Terrace(テラス)」。全戸に土間とコンクリート打ちっ放しの壁を設ける 

プレーヤー間のコンセプト共有 家賃相場130%で満室の先行事例

 同サービスは、伊庭専務が不動産コンサルを行う中で感じていた課題の解決を狙ったものだ。

 「賃貸住宅建築にかかわるプレーヤーは多い。施工段階でコンセプトに合わない建具を使われたり、リーシング段階で相場に合わせて家賃減額を勧められたりして、事業計画とは別物の賃貸住宅が出来上がってしまうことがあった。計画段階のコンセプトでリーシングまで行えるように支援したいと考えて開発を行った」(伊庭専務)

 サービス開始は10月1日だが、先行して同サービスの仕組みを使った例がある。京都市に4月に竣工した7階建ての物件で、2階から5階が賃貸住宅だ。相場より3割高い賃料を設定し、2カ月で満室になった。

(2025年1月号掲載)

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