既存物件のエレベーターをリース契約
賃貸オーナーの資金繰りをサポート
エレベーターアセット(東京都新宿区)は、2024年4月から既設のエレベーターのリースという新発想の事業を展開し、契約数を伸ばしている。
同社のエレベーターリース事業では、築年数が17年を超える物件のエレベーターを同社が買い取る。そのうえで、改めてオーナーと同社との間でエレベーターをリースする契約を締結し、オーナーからリース料を得る。リース期間は10年間。契約期間終了時には、オーナーが同社からエレベーターを買い戻すか、新規リース契約を結ぶかを選ぶ形だ。事業開始後、半年でエレベーター100基のリース契約をし、順調に件数を増やしている。
エレベーターアセット(東京都新宿区)
上野高広社長(49)
オーナーにとっての大きなメリットは三つある。
一つ目は、現金化ができる点だ。オーナーは同社にエレベーターを売却することで現金を手にすることができる。
二つ目は、月々の支払いリース料が安く設定されている点。同サービスでは、リース期間の満了時にエレベーターを買い戻すことを選択できる購入選択権行使価額(残価)を設定したうえでリース料を算出する。そのため、リース期間中は通常のファイナンスリースより安いリース料となる。リース期間満了後は購入選択権行使価額でエレベーターを購入するか、二次リースするか選択することができる。
三つ目は、収益が見込めることだ。同社から支払われる買い取り価格から、リース料と購入選択権行使価額を差し引いても、オーナーは約15~20%の利益が見込める。
▲エレベーターリース導入後のイメージ
同社は、買い取ったエレベーターをオーナーにリースする一方で、エレベーターにポスター広告を掲載する事業を併せて展開。同社にて、リース後にエレベーターの内装のリニューアルを行い、クライアントを募集して広告を掲載する。なお内装デザインは印象の異なる3色からオーナーが選択可能だ。
そのほかにも、リース期間中は同社にて昇降機賠償責任保険に加入し、エレベーター内で万が一の事故などが発生した場合に備えている。
オーナーにとっては、エレベーターを買い取ってもらうことで現金化でき、修繕費が不足した場合や、天災などにより突発的に修繕が必要になった場合などの、頼みの綱となる。契約済みの物件のうち、約9割がオーナー所有の一棟賃貸マンションだという。
同社は不動産開発分譲事業を行うライブズ(同)のグループ会社として24年3月に設立した。契約済みのほかに50基ほどが契約待ちになっている。
まずは東京都、大阪府、福岡県といった大都市圏での展開を予定する。「エレベーターという、安定稼働する動産の流動化による経済効果は大きい。新しいマーケットをつくり出していく」と上野高広社長は話す。
(2025年1月号掲載)
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