広島|都市計画が発する平和へのメッセージ
豊田裕之オーナー


広島市には「平和の軸線」という象徴的な都市計画が存在します。
建築家の丹下健三氏が発案した「平和はつくり出すもの」という思想の下、「原爆ドーム」「原爆死没者慰霊碑」と「広島平和記念資料館」が一直線上に並んでいます。そして、映画「ドライブ・マイ・カー」にも登場する、軸線に配慮し設計された広島市環境局中工場の中を通り抜けて、瀬戸内海へとつながっています。また24年2月に開業した新サッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」もこの軸線上に配され、同氏の志を引き継いでいるのです。
24年10月には、長年にわたり核兵器廃絶の重要性を訴えてきた日本原水爆被害者団体協議会(以下、日本被団協:東京都港区)がノーベル平和賞を受賞しました。この受賞は、世界中の人々にとって核兵器のない未来を目指す希望となる出来事です。
同市が平和の軸線を通じて平和のメッセージを発信し続け、日本被団協がその意義を世界に広めています。これらに鑑み、改めて平和の価値を見つめ直したいです。
都市計画や建物がメッセージを発信し伝え続けている街づくりの考え方は、建物をなりわいの中心とする賃貸オーナーとして非常に興味深く、守っていきたい思いです。
(2025年 3月号掲載)