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営業許可が取れるキッチン付きシェアハウス
毎月開催のマルシェで地域住民とも交流
シェアハウス「ミモザハウス」には、業務用設備の整ったシェアキッチンがある。洋菓子などの販売で独立を目指す人や、普段の生活と離れて食品製造に挑戦する人たちが集まり、月に1回のマルシェを開催している。

▲マルシェには近隣住民が集まる
シェアハウス「ミモザハウス」
髙谷千賀子オーナー(東京都稲城市)

東京都府中市にある閑静な住宅街の一角で、手作りの焼き菓子やアクセサリーが並ぶマルシェが月に1回開催されている。この会場がミモザハウスの庭先だ。
ミモザハウスは、計6室の居室を備えるシェアハウス。2階建てで、1階にシェアキッチンを併設している。経営する髙谷千賀子オーナー(東京都稲城市)は、パン屋の経営とパン教室の講師をしていた経験を持つ。
この建物は、2020年に5棟購入したうちの5棟目にあたる。不動産経営を始めた頃からシェアハウスの開業は考えていたが、広い庭がある2階建ての一軒家はまさに理想どおりの建物だったという。
- ▲白い壁に屋号が映える
- ▲玄関ドアも古いものを再利用した
入り口のドアは、知人から譲り受けたもの。玄関の照明にはアンティークのシャンデリアを設置した。玄関タイルは当時のものをそのまま使っている。古いものをふんだんに使った建物は、白く塗り直した内壁と調和し、清潔感のある印象になった。
マルシェが地域との接点に
食品を製造し販売するには、営業許可の下りた厨房が必要だ。ミモザハウスのシェアキッチンでは、食品衛生法上の営業許可が取得できる。
業務用レベルの設備があるシェアキッチンを併設することは、髙谷オーナーの中で当初からあったアイデアだ。
「自分がパン屋を始めたとき、設備を揃えるのにとても苦労しました。その経験から、食品製造での独立を考えている人を、応援できたらいいなと思ったのです」(髙谷オーナー)
- ▲マルシェ前日には準備のためにシェアキッチンを解放
- ▲設備の整ったキッチンが利用可能
シェアキッチンの利用者は、主に近隣に住む人たちでその中には「将来的に飲食事業で独立したい」と考える人も多い。具体的な独立計画があるわけではないが「まずはやってみたら」とオーナーに背中を押されて利用を始めた人もいる。
20年の運営開始から今まで、3人の利用者が独立して自分の店を持った。月1回のマルシェを始めたのも、髙谷オーナーが「利用者を応援しよう」と考えたのがきっかけだった。
「宣伝はSNSが中心ですが、隣に住んでいた高齢の女性が毎月楽しみに来てくれるなど、地域の人々にも受け入れられているように思います。その女性が亡くなった時も息子さんがマルシェ開催日に知らせに来てくれて、参加者と私でお線香を上げに行きました」(髙谷オーナー)
マルシェが定着すると、今度はシェアキッチン利用者以外からも出店したいという声が上がった。アクセサリー作家として活動しているその人物を受け入れたところ、徐々に食べ物以外の出品も増えていった。
利用者を育てるつもりで運営
現在、シェアハウスは満室。入居者の7人は、夜間のシェアキッチン利用や在庫、調理用具の保管を目当てに借りているという。家賃は5万2000円から6万円で、キッチン利用料は1万6500円かかる。
シェアキッチンは10人ほどが継続利用しており、営業許可は利用者が自分で申請する形式をとっている。必要に応じて髙谷オーナーがサポートを行うこともある。
「入居者にもシェアキッチンの利用者にも、手取り足取りなんでもしてあげるのではなく自立を促しているつもりです」(髙谷オーナー)
取材した日、髙谷オーナーは入居者と共に庭の梅を収穫していた。入居者、利用者、マルシェ参加者、そしてオーナーが、それぞれミモザハウスでの経験を楽しんでいる。
- ▲毎年梅の収穫ができる
- ▲庭木は購入時に生えていたものを残した
(2025年8月号掲載)