【特集】賃貸併用住宅で飼育経験と知識を生かす

賃貸経営空室対策

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賃貸併用住宅でも猫物件 自分の飼育知識が生かせる

 猫物件の一つの形として、自身も動物を飼育するオーナーによる賃貸併用住宅がある。自宅を含め計4戸の木造2階建て賃貸併用住宅を経営する町野由布子オーナー(さいたま市)の物件もその一つだ。サブリースで運用しており、空室に困ることはないという。

町野由布子オーナー(さいたま市)

飼育者だからわかるポイント

 物件は単身者向けの1Kの間取りで、猫の飼育は3頭まで可能。保護猫の乳離れまでを預かる「ミルクボランティア」などであれば、一時的にそれ以上の頭数を受け入れることができる。町野オーナーは「猫は多頭飼いする人が多いのに、ほかの物件には1頭のみ飼育可の場合が多いため入居希望は途切れません。これは猫を自分で飼っていないオーナーとの大きな認識の違いであると感じます」と話す。

 キャットステップの位置や、飼育頭数の制限などで「猫を飼っている人がつくった部屋かどうかわかります。犬と猫では飼育環境が全く異なるのです」ともいう。

▲猫が高いところに登れるようになっている

 猫は多頭飼いすると追いかけっこをするため、キャットウォークに逃げ場をつくってやることも必要だ。また町野オーナーの物件では猫が日なたぼっこをしながら外を眺められるように高さのある窓がある。これを犬用の物件としてしまうと、小型犬であれば骨折してしまうという。

猫の健康に配慮した部屋づくり

 町野オーナーは20年ほど前からペットケアを教えている。当時は犬の飼育頭数が多く「私立わんニャン学園」として始めたが、今は猫を専門として「ニャンズケア」という講座を主宰。猫を病気にしないための育て方やケアの方法を教えており、猫の健康に対する配慮は物件にも生かされている。

 空室が発生するとホームステージングをしているが、その際に使用するカーテンは猫が誤食しても安全性の高い素材だ。同じように猫の健康に配慮した爪研ぎとともに、成約時に希望があればプレゼントしている。

 

 立地に関しても、猫の健康を第一に考え動物病院に徒歩で行ける範囲を選んだ。
「この物件を建てた当時は、付近の開発が始まる前でひらけた場所でしたが、まずは猫のことを考えて動物病院が近い場所を選びました」(町野オーナー)

 入居者は20代、30代の女性が多く、部屋をきれいに使用してくれるため退去後の原状回復やリフォームの費用もかからない。元入居者から飼育相談を受けることもあるほどの知識を生かした設備と立地選定で、賃貸経営を充実させている。

(2025年9月号掲載)
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