若者との出会いで変わる活用への意気込み

賃貸経営地域活性

<<地主の歩み>>
受け継いだ建物との向き合い方】に続き、中村美雪オーナーにまちづくりに関わるようになった経緯を聞く。

シェアアトリエやマルシェ 自身でも試行錯誤を始める

 シェアアトリエでは、つなぐば家守舎が主催するマルシェが定期的に開催される。最初は外部からやって来た若者の活動をいぶかしんでいた地域の住民が、いつの間にかマルシェに立ち寄ったり、「仲良くしていますよ」と言ってくれたりしたことで、自分の選択が地域の振興につながっていることがわかったのだという。

 新田地区を盛り上げようという動きは広まりつつあり、駅の反対側では商店会長がシェアアトリエを始めた。

 

 駅前広場でマーケットが開催されるようになり、町会が開催するイルミネーション&マルシェにつなぐば家守舎が参加するようになったようになった。ほかにも、リノベーションスクールの参加者を中心としてカフェやDIY教室などができている。

 まちおこしに関わるきっかけとなったつなぐば家守舎との出合いについて、中村オーナーは「あれで人生が変わりました」と振り返る。売ってもいいと感じていた物件について、より良く活用したいと考えるようになった。

 そこで数年前から、自身でもシェアオフィスのある建物の隣で、レンタルスペースの経営を始めた。

 現在では、建築当初のローン返済が終わり、運用について試行錯誤が可能な段階になった。賃貸住宅の管理は1棟ずつ別の管理会社に任せて今後の運用を見極めることにしている。家賃は3DKの部屋で7万円代、3Kの部屋で6万円代と相場並みに持ち直した。

 さらに、リノベーションスクールの参加やシェアアトリエの運営で知り合った人々に経営や活用の相談ができるようになったという。

 

 3年前からは、中村家が蔵として使っていた倉庫を、つなぐば家守舎に貸し出した。本好きの中村オーナーの意向も反映して「さいかちどブンコ」という小さな私設図書館としての活用が始まったのだ。

 その頃、自宅の書籍を整理していて父がまちづくりに関する本を読んで学んでいたことを知った。中村オーナー自身もまちづくりについて学び、父の思いをより強く感じたのだという。

 「今後は今の建物を生かしつつ、耐震補強を含めた手入れをしながら、より良い活用方法を考えていきます。小嶋さんたちのような信頼できる人とたくさん知り合えたので、相談しながら活用を考えていこうと思います」(中村オーナー)

(2026年10月号掲載)
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