<塚越商事>設立125年、七代続く老舗 「変わり続ける」が家を守る

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設立125年、七代続く老舗 「変わり続ける」が家を守る

塚越商事(東京都中央区)

塚越商事は会社設立125年を迎える老舗の金融事業者だ。「手形割引」による事業者金融で日本一の歴史を持つ会社だが、その長い歴史の中、金融事業で得た資金で土地を取得。ビル、マンションなどの賃貸経営を行っていった。7代目当主である現社長の塚越良太氏は、引き継いだ資産を守り、家を存続させるために、時代にマッチした方法での承継を見据えている。

長らく空き家になっていた自宅 地域発展の場として活用

 JR山手線日暮里駅から10分程歩くと、奥まった場所に現れる3戸の古民家。昭和の趣そのままに、まるでその敷地だけ時が止まっているかのようだ。戦前の1938(昭和13)年に建てられた、築90年近くになるこの建物は、2015年に「上野桜木あたり」としてリニューアルオープンした。地ビールやスイーツ、手仕事雑貨などのこだわりの商品を扱うショップがテナントとして入居しているほか、建物内の昔のままの古い座敷はイベントスペースとして貸し出されている。

 同物件を所有、管理している塚越商事(東京都中央区)の塚越良太社長が話す。

 「ここは、かつては塚越家の自宅として使われていた家です。しかし、長い間空き家になっていました。賃貸住宅として建て替えるか、または駐車場として貸し出すか、なかなか決めあぐねていたのです」

 そんなある時、地元のNPO法人を通してテレビ番組のロケ地として使わせてもらえないかという声がかかった。

 

 「取り壊すしかないと思っていた古家をそのまま残すことで、古民家としての価値を見出してもらえるんだと気付いたのです。そこで建て替えではなく建物を再生して貸し出すことを決めました」(良太社長)

 15年「昭和13年築の三軒家の保存と改修・活用のバランスを大切に再生させたプロジェクト」としてグッドデザイン賞を受賞。これをきっかけに、SNSなどでその存在が広く知れ渡り、今では人気のスポットとして、地域に人を呼び込む場所に育っている。

 「この場所を含め、当社で所有する8カ所の不動産の大半は築古物件。私の代では、再生や建て替えをすることで受け継いだ資産を守っていきたいと考えています」(良太社長)

(2025年10月号掲載)
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