モンテネグロの不動産事情
豊かな自然と魅力ある街並み
モンテネグロは、南東欧、バルカン半島に位置する新興国です。もとはユーゴスラビア連邦を構成する共和国でしたが、2006年に独立を果たしました。
アドリア海を挟んでイタリアと向かい合うモンテネグロの沿岸部は、めったに雪の降らない温暖な気候です。いくつものビーチリゾートに、夏にはヨーロッパ中から人が集まります。そこから100㎞ほど北上すると、標高2000mを超えるディナル・アルプス山脈が連なり、スキーリゾートが点在します。

モンテネグロは長野県とほぼ同じ面積で、人口わずか62万人の小国ですが、その自然はバラエティーに富んでいます。海も山も街も、息をのむほどの絶景の連続で、観光資源の宝庫です。
現在のモンテネグロは北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、通貨はユーロを採用。28年には欧州連合(EU)への加盟を目指しています。加盟国間を自由に出入国できるシェンゲン協定への参加も準備中ですが、現時点では欧州の隣国から陸路で出入国する際には、まだ国境での検問が必要です。この入国プロセスが不要になれば、モンテネグロは観光地としてさらにブレークするといわれています。
EU加盟見越し物価上昇中
モンテネグロの物価は、ヨーロッパの中ではまだ安い水準です。都市部のアパートメント価格も1㎡あたりの単価が平均2000ユーロ(坪単価約110万円)前後ですが、それが年率2桁の勢いで急上昇しています。
不動産価格の上昇は、3年後にEU加盟を控えた期待値の表れでもあります。ヨーロッパの投資家は皆、これまでポーランド、チェコ、ハンガリー、そして隣国クロアチアがEU加盟した際の不動産上昇率を知っているため、「次はモンテネグロだ」という声が多いのです。
北部リゾートに投資妙味
モンテネグロの都市規模は小さく、首都ポドゴリツァでも人口は約20万人。人気の観光都市である南部・地中海岸のブドヴァ、ティヴァト、コトル、北部・山岳地帯のコラシンなどは、人口1万〜数万人規模です。
物価は沿岸部ほど高く、北部ほど安い傾向にあります。そして冬季のスキーシーズン、夏季のグリーンシーズンいずれも観光客でにぎわう北部のリゾートには、投資妙味のある物件が多いとされます。南部は富裕層向けが多く、夏限定のリゾート地という印象が強いです。

アドリア海のコトル湾最奥部に位置する、コトルの旧市街
アジア太平洋大家の会
代表 鈴木 学

[PROFILE]
海外不動産に精通し、6カ国語を操るアナリスト。国際不動産エージェントの取締役としても多数のセミナーを主催する。自身も6カ国で物件を所有し、投資・経営を行うグローバル家主。
(2025年 12月号掲載)






