<<My賃貸経営スタイル>>
築古再生で利回り15%以上 外国人需要を確保して満室経営
栃木県小山市は、宇都宮市に次ぐ県内第2の都市。工場や大学のキャンパスがあるため、賃貸需要が見込めるエリアだ。
関朱美オーナー(栃木県)

関朱美オーナー(栃木県)は所有物件がすべて小山市にある一極集中型のドミナント戦略で賃貸経営を行っている。現在は、3棟 12戸のアパートと6戸の戸建てを所有する。
初めて物件を購入したのは2006年、JR宇都宮線小山駅近くの1棟4戸のアパートだ。価格は1500万円。築30年以上の物件だったが満室で購入できたため、15%の利回りを確保した状態での賃貸経営デビューとなった。
翌07年にも同じような条件で1LDKの1棟4戸のアパートを購入した。
「どちらも満室で購入したので手間がかかりませんでした。退去が出ても、駅に近いため入居付けに困ることはないと考えました」(関オーナー)
立て続けに物件を購入したものの、その後は仕事と子育てに忙しく、新規購入は行わず、所有は2棟にとどめた。

満室でのオーナーチェンジで購入した1棟目
築古に特化して購入を進める
関オーナーが、三つ目の物件を購入したのはそれから15年後の22年だった。
「子どもたちが成長するに従って、一緒にいられる時間は限られていると感じました。勤め人として朝7時に家を出て、夜の7時に帰ってくる生活ではなく、子どもたちと向き合う時間を取ることに決めました」(関オーナー)
そこで、退職し専業家主となることを決意した。1、2棟目のようには融資を受けることができない。手元の現金で築古戸建ての購入を進めていくことにした。
専業家主となって最初に購入したのは、約20年も空き家になっていた戸建てだった。購入金額は100万円。くみ取り式のトイレだったため水洗式に変える必要があった。床も落ちていたことから、150万円ほどかけてフルリフォームをしたところで大きな落とし穴が待っていた。
下水道が使えないことがわかったのだ。空き家の期間が長かったため、下水道が破損してしまっていたことに気付けなかった。追加で100万円かけて浄化槽を作る羽目に陥ってしまった。
「ライフラインはきちんと調べてから買わないと大変なことになると学びました」(関オーナー)
難あり物件だったものの、家賃6万2000円で募集したところすぐに入居も決まった。
最初の1戸目で苦労をした分、それ以降の戸建て再生に自信がついた。残置物が大量にあったり、大きく手を入れなくてはならなかったりする物件でも、15〜20%くらいの利回りが取れるものを選んで購入している。リフォームにおいて、特に水回りにはこだわる。
- After 水回りをリフォームすることで、内見者の心をつかむ
- Before
「女性の目線を生かすとすると、水回りがきれいなほうが入居者にとってありがたいと思います」(関オーナー)
リフォーム費用を抑えるために心がけていることは二つ。一つ目はDIYだ。
「小学生の頃から、賃貸物件の網戸の張り替えやクリーニング・修繕の手伝いをしていましたから」と笑う関オーナー。実は、父親も会社員の傍ら家主として自主管理で賃貸経営を行っていた。そのため、自分の物件は自分で修繕するという意識が身に付いているのだという。
二つ目は職人の分離発注だ。すべてのリフォームを1社に一気通貫で依頼するのではなく、内装、設備、上下水道などそれぞれ個別の個人事業者に依頼。チームを組むことで費用を抑えている。
3点ユニットは事務所利用
築古再生の経験を積む中で、不動産会社から物件の紹介を受けるようになった。その一つが、大学近くにある1K4戸の物件だ。初めの一歩として06年に購入した物件と似たような条件だが、違っていたのは入居率。こちらは全戸空室の物件だった。
300万円で購入し、同額をかけてリフォームした。3点ユニットの物件だったため、入居者獲得に時間がかかりそうだと思った関オーナーは、全戸を事務所利用、しかも外国人向けに貸し出すことを決めた。

外国人の事務所利用ニーズを上手に捉えた
「外国人が多く住む小山市ですが、まだまだ外国人が入居を拒まれることは多いと感じています」(関オーナー)
それは住宅だけでなく事務所利用も同様だと思い、隠れたニーズがあると踏んだ。4戸すべて事務所として貸したところ、2万5000円で入居が決まった。
母の背中を見せる
専業家主になって以降、子どもたちにも積極的に家主としての姿を見せているという関オーナー。
「購入当初は『お化け屋敷みたい!』と思っていた築古戸建てがリフォームできれいになることに驚き、興味を持ってくれています」(関オーナー)

家族でDIYを行う
かつて自分がそうしていたように、子どもたちもDIYの手伝いをしている。そして、大学生になった長女は、25年に自分の名義で初めての物件を購入した。これから一緒にリフォームをする予定だ。
関オーナー自身が父親の姿を見て影響を受けたように、賃貸経営の楽しさを子どもたちにも伝えることができればと関オーナーは考える。
(2026年 1月号掲載)








