国籍にとらわれず築く信頼関係

賃貸経営入居者との関係づくり

<<入居者との思い出>>

国籍にとらわれず築く信頼関係
ブラジル人牧師が教えてくれた学び

 柴田沙記オーナー(愛知県瀬戸市)は、2020年に再建築不可で借地権付きの物件を購入。21年3月にフィリピン人一家に貸し出したが、1年半後に家賃滞納が続いて裁判となった。執行官と共にその物件を訪ねてみると、住んでいたのは契約した一家ではない外国人夫婦と猫1匹だった。入居者が別人だっただけでなく、室内がフィリピン人家族に貸し出した時よりもきれいになっていたことにも驚いたという。

柴田沙記オーナー(愛知県瀬戸市)

 日本語がわかる、その夫婦の友人から保証会社へ連絡があり判明したのは、夫である男性はJさんというブラジル人の牧師だということ。柴田オーナーの賃借人であるフィリピン人と正式に契約書を交わし、すでに半年間住んでいるということだった。部屋がきれいになっていたのは、Jさんが自らハウスクリーニングを依頼したり、DIYをしたりしたからだった。

 フィリピン人一家とは解約し、柴田オーナーは23年2月、Jさんと直接契約書を交わした。その半年後、Jさんから「雨漏りがあるほか、天井から動物の鳴き声や走る音がする」と連絡が入った。そこで柴田オーナーはリフォーム事業者と一緒に物件を訪ね、左官職人である柴田オーナーの兄も呼び、天井裏を確認した。その結果、イタチが入り込んでいる痕跡を見つけたため、追い払えるよう侵入経路の穴をふさぐ作業を行った。

 「作業の間、Jさんは私たちにブラジリアンコーヒーを振る舞ってくれたり、お茶菓子を買ってきてごちそうしてくれたりと、気遣いがとても伝わりました。最後には、兄と私に日本語で書かれた聖書をプレゼントしてくれました」(柴田オーナー)。その後も雨漏りへの対処のため物件を3回ほど訪問したが、そのたびに温かいもてなしを受けた。

 Jさんは1年半ほど住んだ後、「教会に移り住む」と言って退去した。退去後に点検したところ、やはり室内は清掃されており、貸す前よりもきれいな状態だった。

 「外国人だからといって悪い人ばかりではなく、いい人もいる。そんな当たり前のことを、Jさんに教えてもらった気がします。家主業をしていくうえでの大事な気付きでした」(柴田オーナー)

 

▲4DKの平屋物件は左官職人の兄らに協力を仰ぎ、総額100万円をかけてリフォームし貸し出した

[柴田沙記オーナー プロフィール]
愛知県瀬戸市出身。大学卒業後、介護施設での勤務を経て、セラピストとして整体院に勤務。2020年に借地権付き再建築不可の戸建てを購入し、家主業を開始。25年に購入した2棟目の戸建てを現在リフォーム中。

(2026年2月号掲載)

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