京都で町家、ホテルなど400室運営し企業再生 -レアル

賃貸経営不動産再生

<<京都での宿泊事業で企業再生>>

町家、ホテルなど400室運営

旅行需要の旺盛な京都府で、宿泊施設運営事業と不動産事業の両利き経営を展開するレアル(京都市)。商圏を京都市内に限定し、小規模の宿を分散させて運営するビジネスモデルが特徴だ。京町家再生企業の先駆けとなる同社は、新築による開発も含め、現在400室の施設数を2029年までに800室まで増やす計画を掲げる。

レアル(京都市)
反保宏士郎社長

賃貸借契約で運営受託

 レアルが運営する宿泊施設は、京町家タイプのほか、1棟あたり平均20室を持つホテルタイプがある。京都を代表する繁華街の祇園エリアを中心に、京都市内で72棟400室を運営。26年4月期の売上高は28億円を見込む。

 「鈴(りん)」の屋号で展開する京町家タイプの施設は、1泊3万円の価格帯のものから、1泊20万円の高級宿まで3種類56室(25年10月24日時点、開業予定を含む)を用意する。一方、ホテルタイプの「Rinn(リン)」は1泊1万~15万円の価格帯で提供。デザインや使い勝手などの商品性を打ち出しやすい京町家タイプから予約が埋まる傾向にあるが、ホテルを含めた全施設の平均稼働率は78%となっている。

 利用客の85%はインバウンド(訪日外国人)だ。反保宏士郎社長は「新型コロナウイルスが収束しインバウンド需要が回復するまでは苦しかったが、2年前からは宿泊料金を上げても高稼働を維持できている。外資系ホテルを除き、国内ホテルの知名度やブランドは海外客には関係ないため、商品力で戦える。今は圧倒的に単価が高いインバウンドの集客に注力している」と話す。

 物件は、自社で仕入れた土地、あるいは購入者が決まっている土地に新築するケースのほか、既存物件をリノベーションして仕立てる。開発後、利回り3~7%程度で売却し、賃貸借契約を締結して運営を受託するビジネスモデルだ。集客に加えて、設備管理から清掃まで一貫して自社で行う。他社物件の運営受託も含め、29年までに800室程度まで増やす計画だ。

新築・リノベで宿開発

 24年3月に開設した最⾼級町家「鈴 京都宮川筋 hitotose(ヒトトセ)穐‐Aki(アキ)‐」は、京都市東山区にある伝統的な京都五花街の一つ、宮川町に立地する2階建て、186㎡の一軒家タイプの施設だ。

 出張シェフへの対応ができるようキッチンや調理設備を充実させているほか、露天⾵呂とサウナを備える。宮川筋という⽯畳の細い通りに⾯しており、扉を開けると露天⾵呂まで続く広々とした部屋が⾒渡せるよう造られている。客室ごとにデザインを変えながら、床や壁に和紙をぜいたくに使用した。4人まで宿泊でき、料金は15万~30万円。

▲京都の花街・宮川町にある一棟貸しの「鈴 京都宮川筋 hitotose 穐 -Aki-」

 

 施⼯費⽤は⼟地取得から建築まで約3億円だった。現在は自社保有で運営するが、将来的に4億円での売却を予定し、利回りは3%に設定している。2号店、3号店も開発中だ。

 京都市営地下鉄烏丸線五条駅から徒歩6分程度の場所にある「鈴 六条町家」は、明治中期に建築された築100年を超える京町家だ。寝室となる2階部分はそのままに、1階にキッチンや露天風呂などを新設した。

 後述する⺠事再⽣後の新たな開発プロジェクトとして、⾃社開発の実例を作るために改装した。⽇本家屋の雰囲気を残しながらも、使いやすい宿にすることを⽬的に改修⼯事を⾏った。最大3人までの宿泊で、料金は2万~7万8000円。改修費⽤は800万円で利回りは6・5%となる。

祇園エリア中心の商圏

 同社の設立は2013年。創業者は、少子高齢化に伴い京都市内でも空き家が増えつつあったことに着目し、インバウンドを3000万人まで増やすという国策に乗じる形で京町家の再生・販売事業へと乗り出した。好調な宿泊需要を受けて販売ペースを上げ、3年間で50施設を開業。不動産売買収益により、数億円だった売上高を2019年9月期には50億円まで急拡大させた。

 しかし、20年に入り間もなく発生したコロナ感染拡大の影響で旅行需要は蒸発し、業績は急激に悪化。20年9月期は約7億円の最終赤字を計上し、5億円の債務超過に陥った。21年3月に民事再生法の適用を申請。負債額は18億円に上った。

 スポンサー企業となったのが、北海道でホテル事業を展開する企業だ。反保社長は同社の出身となる。「デューデリジェンス(資産査定)を行った際、宿泊事業は話にならない内容だった。一方で、複数の宿を分散させる形式のビジネスモデルは京都でしか成り立たず、面白みを感じてスポンサードを決めた」(反保社長)

 レアルが商圏とする京都は独特な市場だ。ほかの大都市では駅前のホテルが販売価格として最も高く、不動産価値と客室単価が比例するが、京都では異なる。

 「旅行需要の高い四条河原町・祇園・東山エリアから予約が埋まる。一般的に需要が旺盛な駅前は、京都においては単価が上がりづらいという全国的にも珍しいマーケットだ」(反保社長)

 同社の商圏は祇園・東山エリアが中心で、一定の条件に合う土地があれば商機は見込めると判断する。

 直近の業績は、9月から4月への決算変更に伴い25年4月期の売上高は15億5000万円(12カ月換算では25億円の見込み)。26年4月期は28億円を計画しており、そのうち約9割が宿泊事業によるものとなる。

▲築100年超の京町家を改装した「鈴 六条町屋」

 

不動産会社を買収

 30年までにインバウンド6000万人を呼び込むという国策は宿泊業界には追い風だ。一方で京都市ではまとまった広さの土地の情報が出づらく、建物の高さを制限する条例もあり大型ホテルの出店は容易ではない。「大手が狙う300~500坪以上の土地の情報はなかなか出てこないが、当社は150坪程度で運営できるノウハウがある。30年の京都市場をブルーオーシャンにするためにも早期に800室まで増やしたい」(反保社長)

 24年には約5000戸を管理する不動産会社・First Line(ファーストライン:京都市)を買収。土地情報を取得した際に、ホテルや住宅など開発用途の検討幅を広げつつ、管理を受託するオーナーの相続対策や資産形成で宿泊施設の売買につなげるなどのシナジー(相乗効果)を見込む。

 運営施設における年間約28万人の宿泊客を対象にしたビジネスも検討する。飲食や物販などのサービスを、宿泊客への割引特典を付与しながら展開することも考えている。

(2026年2月号掲載)

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