<<底地問題解決のキホン>>
土地の権利は一体化する事が肝
借地人とは5つの方法で交渉
地主が貸した土地に、借地人が家を建てている底地は、収益性が低い上に活用することができない、地主にとって厄介な資産だ。地主が長年抱えやすい底地問題について、借地権の整理・解消の方法と注意点を解説する。
借地権割合を確認 売買価格に影響
底地問題を解決するためには借地権を解消することが必要だ。借地権を解消する方法は、主に五つある。
①地主が借地権を買い取る(借地権買い戻し)
②底地を借地人に売却する(底地売却)
③地主と借地人が共同で第三者に売却する(共同売却)
④借地権と底地それぞれの一部を交換する(等価交換)
⑤契約終了・更新拒絶による解消(期間満了型)

まず、①の借地権買い戻しの方法についてだが、この場合の借地整理の目的は、借地権の取得による土地の集約だ。借地権は理論上「更地価格×借地権割合」で評価されるが、実務では市場性が乏しい。そのため、実際の売却価格は借地権割合よりも低いケースもある。
借地人が借地権を第三者へ安値で売却すると、地主は有利な条件で土地を回収する機会を失ってしまう。そのため、地主が主体的に借地権を買い取る姿勢が重要となる。
次の解消方法としては、底地の売却がある。売却方法は②の底地売却と③の共同売却の2通りがある。
②の底地売却は、地主が生前に借地人への売却交渉を進めておくことで、適正価格での売却が期待できる。だが、地主に相続が発生した後では借地人に「相続税の納税のために急いで売る」と見られてしまい、価格交渉で不利になりやすい。
借地権割合が6割の土地なら、底地の売却額は公示価格の4割前後を目安として交渉する。借地権割合が7割なら公示価格の3割前後だろう。
地主側としては、底地を売却して相続税の納付資金を用意する場合、売却時に譲渡所得税を納める必要がある。税理士と試算を行いながら判断することが重要だ。
③の共同売却では、事前に売却価格や分配率、費用負担を定めた売買協定書を作成する必要がある。そのうえで、両者が共同売主として買主と契約する。
借地権割合が6割の場合、売却代金の分配は地主と借地人で46対54妥当とされる。この分配率になるのは、借地人は借地権を売却する場合、借地権価格(例えば借地権割合が6割ならその1割の6%)を地主に払うためだ。地主の取り分が46%、借地人の取り分が54%とすることで公平になる。一方、地主側の税負担を考慮して50対50で分配するケースもあるという。いずれにしても、手続きは非常に複雑であり、専門家の関与が不可欠となる。
④の等価交換は、地主が底地の一部を借地人に譲り、借地人が借地権の一部を地主に返すことで、双方が土地所有者となる方法。
メリットとしては、地主は多額の資金を支払わずに土地を回収することができ、さらに一定条件の下で譲渡所得税が繰り延べとなる特例を利用できる点だ。実務では借地を半分ずつ分ける方法が一般的で、借地人が建て替えを希望する時期には交渉が成立しやすく、双方にとって最も効果的なタイミングとなる。

借地権割合を確認 売買価格に影響
最後の⑤の期間満了型だが、借地権は、契約期間が満了したからといって、当然に消えるものではない。借地借家法では借地人の権利が強く保護されており、地主が更新を拒絶するには「正当事由」が必要とされる。正当事由とは、地主自身が土地を使用する必要性、建物の老朽化の程度、借地人の利用状況、立ち退き料の提供などを総合的に考慮して判断される。時間はかかるが正当事由が認められれば最終的に借地関係を終了させることができる。計画的な準備と専門家の助言が重要となる。
借地整理に入る前段階として、地主が底地や相続の知識を得ておくことが大切だ。例えば、借地人の死亡時には、相続人を正確に確定しないまま契約書を書き換えてはならず、必ず遺言書や遺産分割協議書の提出を求める必要がある。その際には建物だけの遺産分割協議書では不十分で、借地権についての協議内容も明確にしておかなければならない。後日ほかの相続人から権利主張を受けると、借地整理や共同売却が無効となる危険があるからだ。
以上のように、底地問題の解決には、法務、税務の専門家と連携して相続対策などを総合的に考慮し、いつ、どの方法を選択するのが最適なのかを判断することが重要だ。

【借地上の建物が古くて使えず、解体が必要な状況であるとき】
●借地権を借地権価格より大幅に安い価格で買い取る場合
⇒建物は地主が引き取り解体する
●借地権を比較的高値で買い取る場合
⇒建物は地主が引き取るが、建物の解体費用の見積もりを取り、解体費用の全額または半額程度を借地人の負担とする
【借地上の建物がリフォームすれば使える状態であるとき】
●借地権を比較的高値で買い取る
⇒建物は地主が引き取る。リフォームして貸家とする、土地と合わせて売却するなどの方法が検討できる
(2026年3月号掲載)

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