広島|家賃値上げが難しい中国地方の現状
豊田裕之オーナー

総務省が発表した「令和5年住宅・土地統計調査」によれば、広島県の空き家率は約15・8%。そして福山市でも、この10年ほどの間に空き家が増加していることが明らかになりました。
背景には、高齢化と人口流出があります。子ども世代は都市部へ移り住み、実家に戻る選択肢を持たないまま親の死去を迎える。そこで突然「実家をどうするか」という重い宿題に直面するのです。
問題をさらに難しくしているのが、家族間のコミュニケーションの壁です。親が元気なうちに相続の話を切り出すことに、ためらいを感じる人は少なくありません。兄弟姉妹で意見が割れたりすると、話題そのものがタブー化し「とりあえず現状維持」という先送りが続きます。その結果、再利用可能な住宅が市場にも地域にも戻ってこず、管理不全のリスクだけが高まっていきます。
福山市はこうした状況を受け、国の方針に沿って「終活」の段階から空き家や実家の将来について話し合うよう呼びかけています。親が元気なうちに選択肢を整理し、必要であれば専門家の意見を交えながら方向性を決めておくことが、多くの空き家が「問題」ではなく「地域資源」へと変わり得るための最初の一歩になるのではないでしょうか。
(2026年 3月号掲載)






