サンセイランディック
複雑な権利調整が必要な不動産の課題解消
サンセイランディックは、不動産の権利調整を主軸事業として展開する東証スタンダード市場の上場企業だ。同社は土地に借地権が設定されている「底地」や入居者のいる老朽化したアパートなどの「居抜き物件」を対象に売買・管理を実施。これまでに底地約4600件、居抜き物件約700件超(2011~24年権利調整実績)の権利調整を行ってきた。底地を所有する地主に対して同社はどのようなサービスを提供しているのか、話を聞いた。
サンセイランディック(東京都千代田区)
ウェルスマネジメント部
田中亮二部長

14年間で約4600件の底地を調整
底地の管理も受託
総務省が発表した「住宅・土地統計調査」によると、底地は全国に72万4000件あるという。底地は、借地借家法で借地人の権利が強く保護されているため、原則として契約期間中の地主からの解約は困難だ。また地代は固定資産税の3倍ほどのケースが多く、地主にとって収益性が低い不動産だといえる。
サンセイランディックは、不動産権利調整の専門企業として、底地の買い取りや管理を行う。底地の取り扱いを開始したのは1991年で、30年超の実績を持つ。直近の2024年12月期は年間権利調整区画数が290件だった。
多くの案件は、不動産会社や税理士、金融機関からの買い取りを前提とした紹介によるものだ。査定後、地主から底地を買い取り、その後借地人に売却するケースが多い。だが近年、地主から直接相談されることが増えてきており、管理を受託するケースが多くなっている。同社では、底地を売却する動機が生じていない段階でも相談を受け、管理受託や将来的な売却につなげる方針を採用しているのだ。
「直接問い合わせをいただくケースは、契約期間の満了時期や固定資産税の増額があったタイミングが多いです。今のままではいけない、将来を考えてどうにかしなければと考えての行動が多く、特に借地の更新手続きを依頼できる会社は少ないことから弊社に相談いただくケースがあります」とウェルスマネジメント部の田中亮二部長は話す。
管理受託については、08年から底地の管理業務「オーナーズパートナー」を開始。管理件数は着実に増加しており、現在は1000件を超えている。底地の管理面積は18万㎡で、東京ドームのおよそ4個分に相当するという。
オーナーズパートナーでは基本業務として、地代などの集金管理、地代改定サポート、滞納改善支援、借地権者への窓口対応、借地状況の定期報告を行う。そのほか、オプションで契約書の作成や更新手続き、各種承諾など地主が判断を求められる場面のサポートや底地の賃貸運営の健全化を図る。最終的な売買のサポートも行っている。
管理受託をするケースでは、課題の整理や地代の見直しを含めて行う。買い取りと管理の両方を提供することが可能な体制により、地主の状況に応じて柔軟な対応ができることが同社の強みだといえる。
田中部長は次のように話す。
「管理受託する際は、まずは地主様と課題を確認しながら、どのように運営していくのかを定めていきます。ただ、地代を値上げしたいという地主の要望があったとしても、地代の値上げは借地人様との合意が不可欠です」
それほど大きな収益向上は見込めない事実があり、将来相続税の納税を考える中で底地を売却する選択肢も出てくるだろう。 さらに「多くの地主様が次世代の方が相続財産として底地を引き継ぐことを望んでいるかの確認をしっかりとされていません。権利が分かれている土地だからこその苦労も多いため、底地の引継ぎ方として、権利を統一する動きをすることや、底地を売却して現金という自由に使える資産に変えるということを考えていただくようにお話ししています」と説明する。

サンセイランディックのキャラクター「底地くん」
身寄りのない借地人に注意
買い取りを前提とした紹介案件には、相続前後が多く、特に相続発生後の売却相談が割合として高い傾向にある。また、最近では、地主が「終活」を考えて事前に相談するケースも増えている。「先祖代々の土地を守りたい」という意識が強かったが、近年はそれが変化してきた。「次世代に迷惑をかけたくない」という考えから整理を検討する地主が増加しているようだ。
一方、借地人の状況も変化しており、地主は注意が必要だという。「借地人が相続未整理の状態で亡くなり、相続人不明や身寄りがない場合、借地権付き空き家として放置されるリスクが増大しているのです」(田中部長)
このような状況になると、地主は、地代が入らなくなり、固定資産税を支払うだけの収支がマイナスの状態になってしまう。しかも、借地人が亡くなり、その相続人がいない場合でも、地主は勝手に借地権付きの建物を取り壊し、借地権を消滅させることはできない。
借地人の相続人を探すことから始めなければならないが、それを実際に行うのはかなり手間がかかる。さらに相続人がいない場合、地主の対応として「相続財産清算人の選任申し立て」を家庭裁判所へ行うことになる。
同社では借地人の相続人が不明だったり、身寄りがいなかったりした場合、地主が取るべき法的手続きの手順について指南している。だが、地主個人で行うことはかなり難しいため、同社で業務を代行するケースもある。
借地権付き空き家に至る要因の一つとして、地主と借地人との関係が年月とともに薄れ、結果的に連絡先や家族構成の把握が難しくなってしまうことが挙げられるのだという。
「借地人の相続後のことも考えて、地主は借地人が生きているうちに、その相続人の存在や状況などを把握することが重要です」(田中部長)
同社は26年2月に創業50周年を迎えた。今後は従来の事業者ネットワークからの紹介案件を大切にしながら、地主からの直接の相談にも対応していく予定だ。
相続財産清算人の選任申し立て
借地人に相続人がいない場合、地主は「相続財産清算人の選任申し立て」を家庭裁判所へ行う。家庭裁判所は相続財産清算人を選定するが、大抵は弁護士が選任される。相続財産清算人は、亡くなった借地人(被相続人)の相続財産全体を管理・清算し、最終的に残った財産を国庫に帰属させる役割を担う。この際に、地主は借地権の権利関係を解消し、土地の完全な所有権を取り戻すために、相続財産清算人に対して「借地権買い取り」を打診する。それによって、相続財産清算人は地主に借地権を返還する。ただし、解体費は地主が負担することになる。
(2026年3月号掲載)






