目指すは日本の空きテナントゼロ ―店舗コマース

賃貸経営空室対策

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目指すは日本の空きテナントゼロ
事業用物件専門仲介のFC

 賃貸住宅と事業用不動産では運用方法が大きく異なる。オーナーにとって特に気になるのが、空室が出た際の客付けだろう。居住用の物件では頼りになる仲介事業者も、事業用不動産に関しては客付けのノウハウがない…しかし、ほかに誰に相談していいのかもわからない…。そんな悩みを解決を目指して事業用不動産専門仲介フランチャイズチェーン「テナントの窓口」を展開するのが、店舗コマースだ。沓掛一貴社長は「全国の空きテナントをゼロにしたい」と話す。

店舗コマース(東京都千代田区)
沓掛一貴社長

 テナントの窓口は現在、1都3県を中心に石川県から九州の宮崎県まで全国31店舗を展開している。5坪の狭小物件から800坪のロードサイド店舗まで客付けの実績がある。専門とする事業用不動産仲介は、賃貸住宅の仲介と比べてマーケットが限定的だ。物件情報が市場に出回りにくく、オーナー側も入居希望者側もなかなか情報にアクセスすることができない。また契約にも住宅とは別の専門知識や経験が求められる。

 事業用不動産のうち大規模物件の仲介では、物件建設においても高いシェアを持つ大和ハウスグループが市場をリードしている。一方、中小規模物件については、地域ごと、物件ごとの取引がほとんどで、住宅の仲介のように多店舗展開している大手はない。

テナントの窓口の店舗

 そのような状況の中で、沓掛社長は大和ハウスリアルティマネジメントに新卒で入社。流通店舗部門で8年間にわたって経験を積んだ後、2023年に店舗コマースを設立。24年1月にFC展開をスタートした。

 「最初はいわゆる『飛び込み営業』で事業用不動産を所有するオーナーにアプローチしていましたが、40%くらいが『実は困っていて』と相談につながりました。飛び込み営業の成功率としては、なかなかの高さですよね。それほど事業用不動産の空室はオーナーを悩ませているのです」(沓掛社長)

ブランドの店舗開発部が鍵 住宅とは異なる市場状況

 自身でも事業用不動産を3件所有している沓掛社長は「ユーチューブ」などのSNSにおいて「くっつー」の名前で事業用テナントの賃貸に関する知識を発信している。現在では、自社ホームページやSNSから「くっつーに相談したい」というオーナーの相談を受けることが多い。仲介以外にも「契約更新時に契約内容を変更したい」「テナントビルの購入について実績のある人に相談したい」といった相談に応えてきた。

 テナントの窓口が仲介を行う場合、オーナーは賃料の1カ月分の仲介手数料を支払う。契約更新時に「普通借家契約から定期借家契約に変更したい」という更新時の手続きに関する依頼を行った場合も同様だ。

 今まで入居に至ったテナントの中で多くの割合を占めるのはチェーン店。飲食店やジムなどが多い。こうした企業で出店を決める店舗開発の担当者は、住宅用の物件情報サイトを見ることはない。テナントの窓口は企業に直接働きかけるため、インターネット上に公開してもなかなか見つけられにくい空きテナント情報を、必要としている企業に届けることができるという。また有名チェーンの入居はオーナーにとっても安心材料になる。

 そのほか、周辺相場に合わせた賃料設定、現地やネットでの広告など、一般的な客付けのための働きかけも、居住用と事業用では方法が異なる。契約時にも、基本的に定期借家契約での入居とし、事業用不動産の契約でオーナーが悩みやすい退去や改修の問題が起こりにくいようサポートしている。

SNSで積極的な発信を行っている

 「賃貸住宅の経験だけではカバーできない事業用不動産の知識があること、全国展開をしているためさまざまな地域で対応できることがテナントの窓口の一番の強みです」と話す沓掛社長。一方で、ウェブからの問い合わせで店舗展開のない地域からの相談を持ちかけられて、泣く泣く断ったこともある。全国からの相談に応えられるよう、FC展開を強化していく姿勢だ。

出発点は父との思い出 まちづくりへの熱意で活動

 沓掛社長が店舗コマースの事業を始めた背景には、新卒で入社した会社の流通店舗部門での経験がある。しかし、実は大学でも都市計画を専攻しており、以前から都市を構成する不動産への興味があったのだという。

 「幼少期、父が信号機のメーカーに勤めていて、一緒に外を歩いていると『あれは俺の会社が作った信号機だぞ』なんて言われていたのです。それを聞いて『自分の仕事がまちをつくっているなんていいな』と思ったのが私の原点でしょう」(沓掛社長)

 信号機から始まったまちづくりへの興味は都市計画を学ぶ選択を後押しし、就職して仕事を覚えることで不動産への熱意に変化した。独立前はデベロッパーとして建物を造る立場であったが、独立開業した今では「今あるものを生かす」時代であることを意識している。

ユーチューブを活用し動画も公開

 「今の目標は『全国の空きテナントをゼロにすること』。空きテナントに困っているオーナーと同様に出店場所に悩む企業があるので、達成可能な目標だと思っています。でも今はまだできていない。専門仲介店であるテナントの窓口が増えていくことで、現状の突破口を開いていきたいです」(沓掛社長)
(2026年7月号掲載)

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