【特集】第一印象を良くするリノベ術②

賃貸経営リフォーム・リノベーション#共用部#単身者#リノベ

廊下
暗さは内見時にマイナス印象 白色以外が明るい印象を生む

CASE1:高級感を出す

各階でテーマを設定 ターゲット毎にカラー変更

 共用廊下の暗さを払しょくするリノベを行ったのは、朝日リビング(千代田区)女子力企画室の鈴木祐美子室長だ。外観には特に大きな問題点はない物件だった。だが、物件内に一歩入ると、その暗さに驚いたという。
 オーナー自身、マンションの建築会社に、何度か暗さに対する懸念を伝えていたそうだ。しかし「天井や床が白いため明るさの問題はない。必要であれば蛍光灯の数を増やす」という回答しか得られなかったという。

 蛍光灯の本数を増やすだけでは、まるで病院の廊下のような雰囲気は変わらない。抜本的なイメージチェンジをすることが必要だと鈴木室長は提案した。

ここに注目

廊下側に傘用のフックを追加した。今まで廊下に雑多に置かれていた傘がなくなり、美観を保つ効果があった。

 物件のあるエリアは、大学生が多く住む場所。そこで、他府県から大学入学をきっかけに同エリアに引っ越してくる学生をターゲットに据えることにした。「他府県に住んでいた人が『これぞ神戸』と思える物件にすることを念頭に『高級感のあるホテル』をテーマに据えました」(鈴木室長)

 賃貸物件の共用廊下というと、グレーの長尺シートを用いている場合が多い。だが、各階をそれぞれ男子生徒向け、女子生徒向けとイメージを変え、オールドレンガ柄やヘリンボーン柄を採用し「高級感のある洋館ホテル」の雰囲気をつくり出した。

 天井も白みがかったグレーから濃い茶色に塗り替え、蛍光灯はライティングレールを使った間接照明に変えた。「白っぽい配色であれば明るいというのは誤解」だと鈴木室長は話すが、リノベ前後の写真を見ると、その言葉に納得がいくだろう。

 学生向け物件であれば、内見時は親が同行することが多い。セキュリティーの面を心配する親にとって、明るい共用廊下は大きな安心材料となる。「防犯の観点から考えると、内見者へのアピールだけでなく、入居者満足にもつながるリノベだといえます」(鈴木室長)

 リノベ後、空室だった2戸もすぐに入居が決まり、満室経営を続けている。

After                     Before

(2024年9月号掲載)
次の記事↓
【特集】第一印象を良くするリノベ術③

一覧に戻る

購読料金プランについて