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知人が居住中の戸建てを買い取り家主業から築かれた友人関係
寛長衛オーナー(73)
神戸市
寛長衛オーナー(神戸市)は2014年から23年にかけて、11戸の中古戸建てを購入し、貸し出している。16年には3戸を購入したが、1戸は所有物件の隣に住む男性A氏から買い取りを依頼され、購入後はそのA氏に賃貸しているという、珍しい出合いをした物件だ。
寛長オーナーは14年に中古戸建てを購入。その物件のDIYやリフォームのために寛長オーナーが何度も通ううちに、隣に住んでいたA氏と親しくなっていった。
知り合って2年後の16年7月、当時63歳のA氏から自宅を自分が住んでいる状態のままで買ってほしいという依頼があった。A氏は年金生活をしていたが、がんを患い治療費用が必要だった。また、将来行政から医療サービスを受けたり、市営住宅への入居を申し込んだりする際にも、賃貸のほうが有利なのだと相談された。銀行へ自宅を担保に老後資金を借りる「リバースモーゲージ」の問い合わせもしたが、土地が狭すぎて断られてしまったという。
「物件は土地・建物ともに50㎡弱の木造2階建ての3DK。築44年という古い物件でしたが即決し、200万円で買って3万円の家賃で貸すという条件で話をつけました。築古なのに何も改修せず、利回り14%を確保できるのですから、十分に魅力的な取引だと判断したのです」と話す寛長オーナー。
前述のとおり、A氏の住む家の隣は寛長オーナーの所有物件だ。母娘ははこが住む戸建て住宅だが、「ごみ屋敷」状態で困っていた。すると、きれい好きなA氏が裏庭などの掃除をしてくれることになった。そのお礼として、会食の接待や出張時にお土産の差し入れなどをしている。また、互いの家が近いので、一緒にウオーキングをしたり、A氏が入院・退院するときには、マイカーで病院まで送迎をしたりしたという。
ご近所さんから、家主と借主の関係になり、さらに友人となった二人。「家主業がつないでくれた縁を大切にしていきたい」と寛長オーナーは語った。
[プロフィール]
かんちょう・まもる
1950年、兵庫県加東市生まれ。大学卒業後、タイヤメーカーの営業部門に勤務。定年後、学友だった先輩家主の影響を受け家主業へ。2014年、加東市の実家近くの相続した土地を売却。それを元手に10年間で中古戸建て11戸を購入し、経営中。
(2024年2月号掲載)
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