川崎市にある大規模団地において、物流業界の人手不足と、高齢化による「買い物難民」という二つの社会課題の解決を目指した実験が始まった。
独立行政法人都市再生機構(以下、UR:横浜市)は、パナソニック ホールディングス(大阪府門真市)、東急(東京都渋谷区)と2023年10月に連携協定を締結。同年11月18日より、郊外住宅地での空中配送ロボット技術による配送サービスの実証実験を開始した。川崎市の「UR虹ヶ丘団地」にて、24年3月31日まで不定期で実施される。
空中配送ロボットは複数の電柱に取り付けられたワイヤを伝って移動し、団地内に設置した受け取りボックスへ荷物を届ける。住人が専用アプリで商品を注文すると、最短30分ほどで商品が届く仕組みだ。
空中配送システムは「ソラカラ便」と名付けられ、23年12月5日から頻度としては今後1カ月あたり6日程度を予定している。配送ロボットは午前11~午後3時まで稼働し、住人の利用頻度や利用目的、生活への影響などを調査する。
同時に実施日に合わせて3回、パナソニックホールディングスが団地内で配送用アプリの使い方に関する講習会を実施した。慣れないスマートフォンの扱いに戸惑う住人もいたようだが、「次は自分で注文できそうだ」という声もあり、おおむね好評だった。
UR東日本賃貸住宅本部神奈川エリア経営部ストック活用企画課の中原貴子主幹は「買い物が困難な住人の利便性が良くなると考えている。荷物の受け取り場所が団地住人の交流の場となることなども期待できる」と話す。
(2024年3月号掲載)
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