【特集】人気設備から読み解く 2025年のトレンド

賃貸経営住宅設備・建材

「全国賃貸住宅新聞」は「入居者に人気の設備ランキング」を発表した。「付加価値アップできる設備」部門で一番人気だったのは「インターネット無料」。また、「宅配ボックス」がランクアップしたほか、新たに「ペット用設備」がトップ10に食い込んだ。そのほか毎回上位の常連となっている設備がランクイン。人気の根強さが見られた。これらの設備の多くが賃料アップといった物件の付加価値向上に貢献している。一方、「絶対条件になる設備」部門では上位陣が前回とほぼ同じとなった。ニーズが固定化しているともいえ、入居者を引き付けるためにも、文字どおり必須になる設備がそろった。ランキング内容とともに編集部が注目した各社の設備を紹介する。

繁忙期に検討したい 入居者に人気の設備

全国賃貸住宅新聞が毎年実施するアンケート調査を基に発表している「入居者に人気の設備ランキング」。今回は全国の不動産会社520社から回答を得た。その結果からトレンドを見ていく。

【付加価値アップできる設備 TOP10】

単身もファミリーも引き付ける 家賃アップに有効な宅配ボックス

インターネット無料 8年連続2冠

 「付加価値アップできる設備」部門では、単身者向け、ファミリー向け共に「インターネット無料」が1位となった。両方での首位は8年連続で、不動の人気となっている。

 ネット関連では「高速インターネット」が単身者向けで4位、ファミリー向けで5位。前回はそれぞれ3位と6位だったので、高順位が続いている。

 このほか「エントランスのオートロック」が単身者向けで3位、ファミリー向けで2位。「浴室換気乾燥機」や「システムキッチン」も前回に続いて2年連続で単身者向け、ファミリー向けの両方で10位以内に入った。

【絶対条件になる設備 TOP10】

ペット用設備 初登場で10位以内に

 同部門では「宅配ボックス」と「ペット用設備」の動きが目立った。宅配ボックスは単身者向けで前回の4位から2位に、ファミリー向けで同じく5位から4位に順位を上げた。冷蔵機能付きのものやスリムタイプなど種類も増え、新築・既築とも差別化目的で導入しやすい。

 ペット用設備は、単身者向け、ファミリー向けの両方で今回が初登場となったが、それぞれ6位と7位にランクインしている。次回以降も10位以内の常連になるか注目だ。

 一方、単身者向けで前回8位だった「防犯カメラ」は、今回は18位。付加価値が高い物件では「あって当たり前」だと一般化されているようだ。

設置されていて当然 エアコンや室内洗濯機置き場

 「絶対条件になる設備」部門は、前回初めて登場して単身者向け、ファミリー向けで1位となった「エアコン」が、今回も2冠を達成した。近年の夏は猛暑が大変厳しいため、「設置されていて当然」という意識が広まっているようだ。

上位ランクの設備 ほぼ固定化

 続く2位、3位は単身者向け、ファミリー向け共に「室内洗濯機置き場」と「テレビモニター付きインターホン」の順となった。
 同部門は上位にランクインした設備が前回とほとんど変わっていない。
 単身者向けはトップ10の顔ぶれが前回と同じで、順位変動は2位と3位、7位と8位のみだった。ファミリー向けもほぼ同様で、前回のトップ10のうちの九つが今回も10位以内に入った。
 同部門においては、それだけ入居者のニーズが固定化してきているといえるだろう。低価格帯の物件であっても、これらの設備はそろえておきたいところだ。

【高速ネット導入は入居者のための設備投資】

図越寛オーナー(43)(大阪市)

 大阪市内と神戸市内でハイグレード都市型レジデンス「ブエナビスタ」シリーズを展開するブエナビスタ(大阪市)代表取締役の図越寛オーナー(同)は、新築物件でイーブロードコミュニケーションズ(同)の光インターネットサービスの1ギガプランを導入。所有する8棟全てで無料提供している。「無料インターネットは入居の決め手の一つにもなっていると思います」と話す。このほど、今後2年間で竣工予定の新築4棟と既築6棟に同サービスの10ギガプランの導入を決定。規格上の速度の最大値が10倍になる。「快適なネット環境になることを期待しています。費用はかかりますが、入居者ファーストのための設備投資です」と語る。

(2024年12月号掲載)
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