注目の新築プロジェクト:パズルのような造り

賃貸経営住宅設備・建材

パズルのような造りで間取りは9パターン
小商いに使いやすいサイズが⼊居者に好評

セシーズイシイ23(川崎市)

石井秀和オーナー(48)
(川崎市)

 まるで立体パズルのような賃貸住宅が、2023年5月に竣工した。JR南武線武蔵新城駅から徒歩2分の場所にある「セシーズイシイ23」は、RC造3階建てで、店舗部分1戸を含む全19戸から成る。「時代の変化に合わせてリノベーションしやすい賃貸住宅にしました」と話すのは石井秀和オーナー(川崎市)だ。

▲A棟、B棟、C棟の3棟で構成されたセシーズイシイ23の外観

 各部屋は、床面積8㎡のキューブ(立方体)を組み合わせたような造りとなっている。画一的な間取りの部屋を並べるのではなく、できるだけ変化のある間取りを目指した。そこでキューブを下に二つ、上に一つ使った部屋と、下に一つ、上に二つ使った部屋を組み合わせるなどして9タイプの間取りを実現。室内では、壁の1面をアクセントウォールとして、木製の棚板やレール式棚板などを取り付け、部屋ごとに変化を持たせた。
 「街の中の⼩さな部屋は、起業を⽬指す⼈や必要最低限で暮らすミニマリストなどからのニーズがあるのではないかと思っていました」(石井オーナー)

 20㎡程度の小商い可能な賃貸住宅は、同物件の周辺エリアにはあまりなかったことから、反響は上々だった。飲食店、アウトドアショップのほか、英語教室、画家のアトリエなど入居者の使い方も多種多様だ。入居者からは「物件を一目見て面白いと思いました」「自分の求めるサイズにピッタリでした」といった声があるという。1階には日替わりで運営者が代わるシェアバーがオープン。運営者となるには登録が必要だが、登録希望者は50人にも上る。

 入居者の利便性を考え石井オーナーが代表を務める南荘石井事務所(川崎市)が、同物件の近くで運営するコワーキングスペースやフィットネスジムを利用できる特典も付けた。「住居単価としては割⾼の⼀⽅、⼩商いをするうえではリーズナブルだと感じた⼈が多かったようです」(石井オーナー)。

 同年11月には「セシーズイシイフェス」と銘打って、セシーズイシイ23の入居者を中心に出店を募りイベントを開催。入居者が街を楽しみ、街の人が入居者を知る機会になった。
 もともと地元自治体などと組んで創業支援にも携わっている石井オーナー。「小商いできるスペースへのニーズがここまで高いとは思いませんでした。今後の賃貸物件の建設にとても参考になりました」と話す石井オーナーの顔は明るい。

【物件概要】
セシーズイシイ23(川崎市)
物件名:セシーズイシイ23
所在地:川崎市
構造:RC造、3階建て
戸数:18戸+1店舗
竣工:2023年5月
間取り・広さ:1K~1DK、16.46〜31.28㎡
家賃:7万6500~11万9000円(管理費込み)

(2024年4月号掲載)

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