50畳の共用スペースが車愛好家の交流を生む
石川孝太郎オーナー(63)■愛知県豊橋市
山梨県北杜市にある「八ヶ岳ガレージハウス」は、9戸のテラスハウス形式のガレージ付き賃貸住宅。無垢の床材などの天然素材を用い、分譲に負けない質の高い空間を提供する。入居まで1年近く待った入居者もいるほどの人気物件だ。だが、「竣工当時はまったく入居につながらずに苦労しました」と石川孝太郎オーナー(愛知県豊橋市)は振り返る。
▲「自分が楽しめるものをつくった」と話す石川オーナー
3棟のマンションや貸地を父親から引き継いで経営する石川オーナーは、自身の代で「面白い賃貸住宅をつくりたい」と考えた。そこで、同じ趣味の人と共に週末を楽しめる賃貸物件を目指し、2016年におよそ3億円をかけて竣工した。八ヶ岳を選んだのは、自宅からも通え、東京からの客層も取り込むことができる立地だからだ。
しかし、当時は多拠点生活やテレワークはごく限られた人々だけが行う生活スタイルだった。そのため、内見者も物件を見て感動するものの、契約にはつながらなかった。そこで、19年より家具・家電付き、かつ1カ月からの契約可能という条件に踏み切った。「まずは試しに入居してみて、気に入ればそのまま更新できるという形にハードルを下げました。また、家具・家電があれば気楽に住んでもらえると考えたのです」(石川オーナー)
それに加え、新型コロナウイルスの感染拡大により、密を避けて都市部を離れた生活スタイルが広まったことが追い風となった。「竣工した8年前は、八ヶ岳で20万円弱の家賃帯などあり得ないと地元の不動産会社からは不評だった物件ですが、現在は同じようなコンセプトの賃貸物件が増えてきました」(石川オーナー)
▲シェアスペースであるクラブハウスは入居者同士が交流できる
同物件の特徴である50畳のシェアスペースにはまきストーブやワインセラーも完備。週末は石川オーナーもそこで入居者たちと趣味の話で盛り上がるという。「入居者は一緒に食事を取る仲間なので、入居前に私が直接会って話をし、どんな人物か見極めさせていただきます」と石川オーナーは話す。
入居待ちが出ていることを鑑みて、隣地を購入してさらにガレージ付き賃貸住宅を展開していきたいと考えている。今後、八ヶ岳は車好きの楽園になるかもしれない。
▲全戸異なるタイプ
(2024年1月号掲載)
アクセスランキング
- 注目の新築プロジェクト:植栽付きバルコニーとドッグラン
- Regeneration ~建物再生物語~:築90年の日本家屋
- 【PR・特集】相続で 困ったときに頼りになる 専⾨家・サービス①
- Regeneration ~建物再生物語~:既存不適格建築物を店舗併用住宅に再生
- 【特集】非住宅ではじめる 遊休地活用ビジネス第六弾:①
- Regeneration ~建物再生物語~:築古アパートをシェアハウスに改修
- 【特集】持ち味発揮 共用部を変えた家主の工夫①:エントランス
- 【特集】押さえておきたい不動産の共有リスクと解消法①
- Regeneration ~建物再生物語~:アトリエ付き住宅へリノベして受賞
- 【特集】古くなったら避けられない 大規模修繕の基礎知識①
- 【特集】24年のカギを握る入居者を引き付ける設備9選
- Regeneration~建物再生物語~:魚屋を複合施設へリノベ
- 【特集】基本を知れば怖くない 税務調査への 対応策:①税務調査概要編
- 【特集】時代に乗り遅れるな今こそ省エネ化①:省エネ賃貸住宅の夜明け
- 【特集】不動産購入で伝来の土地を守る
- 地名・土地の名前の由来 その隠された意味とは?
- 地主・土地持ちはずるいvs大変?地主になるにはどうやってなる?
- 武家屋敷(大名屋敷・江戸屋敷)の特徴とは? 跡地に建つ有名施設
- 大家さんとは? 不動産の大家さんになるには
- ランドセット(売り建て住宅)とは メリットデメリット