【連載】海外各都市の不動産投資:モルディブ:8月号

賃貸経営不動産投資

モルディブの不動産事情

高層ビルが密集する首都

 「インド洋の真珠」と称される、美しい熱帯の島国モルディブ共和国。インド、スリランカの南西に位置し、モルディブ諸島を領土とする独立国です。小さな島や環礁が多く、総面積は298㎢と東京23区の半分以下。人口は約51万人で、約4割が首都のマレ周辺で暮らしています。主要民族であるモルディブ人のほか、外国人住民が総人口の20%以上を占めています。

 旅人を魅了するエメラルドグリーンの海と、世界的なリゾート地として知られる同国は、国内1192の島のうち、159島がリゾート化されています。一つの島を丸ごとリゾートにする「1島1リゾート」政策が有名で、GDP(国内総生産)の約4分の1が観光事業によるものです。2023年には来訪観光客数が過去最高の180万人を記録しました。

 マレは、人口の半数近くが集中する過密都市です。面積わずか6・8㎢のマレ島に高層建物が隙間なく立ち、世界有数の人口密度となっています。東に隣接するフルレ島には国際空港と水上飛行機のターミナルがあり、さらにフルレ島北側には人工島フルマーレを造成中。海面上昇による国土水没リスク対策として、将来的に数十万人が暮らす住宅地になる予定です。マレ、フルレ、フルマーレの3島は橋でつながっています。

高級リゾート物件も販売

▲五つ星の高級リゾート「ソネバジャニ」のコテージ

  マレやフルマーレには新築・中古マンションの流通マーケットがあります。1000万円程度で買える1LDKのマンションもあれば、数億円する高層階のペントハウスもあります。

 とはいえ、モルディブの経済を支える国外観光客の大多数はマレには泊まらず、フェリーや水上飛行機で島リゾートに直行します。そこでは開発会社が手がけるヴィラ、コテージなどが不動産として分譲されています。

 五つ星クラスの高級リゾート内の不動産は、世界の富裕層向けで大変高価です。私がモニター宿泊をした五つ星のリゾート「ソネバジャニ」では、プライベートビーチとプール、滑り台の付いた新築コテージが一番安いもので490万米ドル(約7億6000万円)、桟橋上の水上コテージが990万米ドル(約15億4000万円)で売られていました。

 これらの物件は、オーナーが使用しない期間はリゾート会社が旅客に貸し出してくれます。賃貸利回りは3~4%で、世界的な富裕層人口の増加による値上がり益も期待できます。

アジア太平洋大家の会 代表 鈴木 学

海外不動産に精通し、6カ国語を操るアナリスト。国際不動産エージェントの取締役としても多数のセミナーを主催する。自身も6カ国で物件を所有し、投資・経営を行うグリーバル家主。

(2024年8月号掲載)

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