家主のアナザーストーリー:コンサル経験生かす

賃貸経営ストーリー

地主へのコンサルティングを経験 自身の不動産投資と管理に生かす

福田江利奈オーナー(東京都江東区)は専門学校卒業後、地主に土地の有効活用に関するコンサルティングを行い、収益が上がる物件を建てる1級建築士事務所に10年間勤務。その間、デベロッパーやゼネコンと共に多くのプロジェクトを手がけた。そこで得た知識やノウハウ、築き上げた豊富な人脈を、現在の不動産投資や所有物件の管理にどう生かしているのかについて話を聞いた。

第44回 福田江利奈オーナー

[プロフィール]ふくだ・えりな

1971年、東京都江東区生まれ。設計事務所勤務中に不動産投資を始め、マンション2棟、テナントビル1棟など、合計44戸所有。代表を務める二つの不動産関連会社で管理している。

1級建築士事務所に就職 収益性ある物件づくり目指す

 福田オーナーはインテリアコーディネーターを目指して美術の専門学校に進学。卒業後の就職活動では多くの設計事務所の門をたたいたが、バブル崩壊後の不景気と資格や経験がなかったことから断られ続けた。そうした中で唯一採用されたのが、地主に土地の有効活用についてコンサルティングし、物件の設計から建築までを請け負う1級建築士事務所だった。

 社長や上司は新人にもどんどん仕事を任せたいという考えの持ち主で、入社直後から1人で都内の地主を担当させてくれた。福田オーナーは何を建てたら収益が上がるかを地主と一緒に考え、デザイナーズマンションやビルを設計。建設を担当するゼネコンやデベロッパーをコンペで選定したり、資材価格の交渉に当たったりするなど着実に経験を積んでいった。その間に、上司の後押しで1級建築士と宅地建物取引士の資格を取得することもできた。

20代で不動産投資をスタート  退職後は不動産会社の代表に

▲東京都江東区に所有するテナントビル 

 母親が株式投資をしていたことから、投資に対する抵抗がなかったという福田オーナー。不動産投資は、在職中の20代から始めた。現在は不動産投資と資産管理会社2社の代表として、不動産を管理している。

 1級建築士事務所での仕事はやりがいがあったが、激務で家族と向き合う時間が取れないことから、10年間勤務したのちに退職した。だが、この時期に学んだことはすべて、現在の仕事に役立っているという。

「地主や建設・不動産のプロと深く関わった経験から、土地や物件をさまざまな視点で見ることができます。物件の価値を上げる方法やリスクを回避するすべも知っているので、物件の購入時のハードルもあまり感じません。水漏れなどトラブルが起きたり、管理に悩んだりしたときには、頼れるところもありますからね」(福田オーナー)

 空室が出てしまった際にはインテリアコーディネートの知識を生かしてホームステージングを行い、早期契約につなげている。振り返れば、すべての出会いと経験が今の自分をつくってくれたと振り返る。

(2024年9月号掲載)

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