貸住宅市場を盛り上げる、キラリと光る地場企業を紹介します。
リョーエン(福井市)
一棟売りアパートの開発に注力 注文住宅のデザイン力生かす
注文住宅の建築を主力事業とするリョーエン(福井市)では、木造アパート事業「CUBIC(キュービック)–R」に注力している。これまで、地主が所有する土地や投資家が購入した土地にアパートを建築してきたが、2024年から一棟売りのアパートの開発を開始した。1棟目が3月に完成しており、25年3月までに3棟の開発が決まっている。今後、年間3~4棟のペースで開発を進めていく方針だ。
遠藤大輔社長(42)
CUBIC–Rを立ち上げたのは09年。主力の注文住宅の建築に次ぐ事業の柱として成長させるべく、18年から拡大を図り、年間100~110戸程度のアパートを建築してきた。
地主が相続対策や土地の有効活用を目的に建築するほか、県外の投資家が福井県内に土地を購入して建てるケースもある。受注ベースでは、新たに土地を購入し、アパートを建てるケースが半数にまで増えた。既存顧客のリピート購入や不動産会社からの紹介で受注を増やしており、ここ数年は、県外の投資家からの問い合わせが増加しているという。北陸新幹線が開通し、東京都からのアクセスが良くなった影響もあるようだ。
▲3月に完成したEnewⅠ
遠藤大輔社長は「比較的安価に土地を購入できる福井県で賃貸経営を始めたいというニーズがある。その中で、完成した物件の購入を希望する声が出てくるようになった」と、自社開発を始めた経緯を語る。
オーダーメードで差別化 投資家の資産形成サポート
完成したアパートの内覧会で、投資家のニーズをヒアリングする機会を設けている。完成内覧会は週末に開催し、建築を検討している人が2日間で40~50人ほど来場。来場者の2割は県外在住者で、近隣の富山県や石川県に加え、関東、関西エリアからも来る。
同社が建築するアパートは、すべて設計・デザインがオーダーメードだ。高いデザイン性で差別化を図っており、経年による家賃や入居率の下落を抑制したいと考えている。設備面では、顔認証に加え、スマートフォンによる遠隔操作でも解錠することができるオートロックを標準搭載。遠藤社長は「個人住宅で培ったデザイン性と機能性を兼ね備えた住宅づくりのノウハウを生かしている」と語る。
▲床や天井が木目柄の専有部
自社開発1棟目のアパートは、24年3月に完成した「EnewⅠ(エニューワン)」だ。現在は満室で、モデルルームとして活用した後、投資家に売却する。EnewⅠは、木造2階建ての全8戸。専有部は25㎡のワンルーム。近隣に大学があり、学生向けに企画したが、3戸は法人契約を含め社会人の入居が決まった。エントランスや内廊下などの共用部は、高級ホテルをイメージした内装で、つり上げ天井とし、ペンダントライトなどを設置。専有部は床や天井が木目柄で、リビングやトイレの壁にはアクセントクロスを施工している。
「夜に照明をつけたときの見栄えや、街の景観との融合にもこだわっている。福井市に快適に過ごせる賃貸住宅を供給するとともに、投資家の資産形成をサポートしていきたい」(遠藤社長)
(2024年10月号掲載)
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