スロバキア共和国の不動産事情
首都で1㎡あたり50万円強
スロバキア共和国は、中央ヨーロッパに位置する内陸国。第2次世界大戦後は旧共産圏のチェコスロバキアという国でしたが、ソ連崩壊後の1992年に平和的に分離独立し、欧州の一員となりました。わずか人口500万人余りの同国は、経済協力開発機構(OECD)、欧州連合(EU)、シェンゲン協定に加盟後、09年には通貨にユーロを採用。EUの支援や外資を受け入れて順調に経済成長を続け、今では先進国に準ずる経済レベルになっています。
同国の国土は山が多く、大都市がありません。首都で最大都市のブラチスラバが人口45万人、2位のコシツェが20万人強、3位以降の都市はすべて10万人以下です。都市規模が小さく、居住用不動産の1㎡あたりの単価はオーストリア、チェコ、ポーランドなどの近隣諸国と比べて安価です。24年の第2四半期では、1㎡あたりの価格がブラチスラバで3127ユーロ(約51万円)、コシツェで2087ユーロ(約34万円)でした。
今は欧州全体が高金利で同国の不動産価格は緩やかに下落していますが、底打ちの傾向も見られます。
お買い得な山岳リゾート
大都市がなく、国としての知名度がやや低い同国の最大の売りは、山岳地帯の大自然。標高2655mのゲルラホウスキー山を擁するタトラ山脈は、ヨーロッパ中から観光客が来る一大観光地です。国内各地をはじめ、ポーランドやチェコ、ハンガリー、ドイツ、オーストリアからも自家用車で観光に訪れます。夏は避暑、冬はスキー、そのほかの季節も登山やサイクリングなどで一年中にぎわいます。
ホテルやサービスアパートメントの年間稼働率が良く、かつ開発が制限されていて競合が少ないことから、同地のホテル区分や、ゴルフ場に隣接するタウンハウスが投資対象になっています。相場は25万~30万ユーロ(約4000万~4800万円)で、手取りベースの利回りは約5%が期待できます。
また「タトラ山脈展望住宅」という永住者・長期滞在者向けの住宅も開発されています。所有権付きの650㎡の土地に外断熱工法で建てられた120㎡の新築戸建てが、3台分の駐車場付きで約30万ユーロ(約4800万円)と、お買い得に感じます。ここからタトラ山脈のリゾート地や、最寄りの人口5万人の都市ポプラドへも、約10分のドライブで行けるため、生活利便性も高いです。
PROFILE
アジア太平洋大家の会 代表 鈴木 学
海外不動産に精通し、6カ国語を操るアナリスト。国際不動産エージェントの取締役としても多数のセミナーを主催する。自身も6カ国で物件を所有し、投資・経営を行うグローバル家主。
(2025年1月号掲載)
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