Vol.4 幸運や情熱などを意味する赤 身近な場所にも導入される
国を超えて共通の意味を持つ
青に続き今回から赤について説明します。
赤は古来特別な意味を持つ色として、多くの文化圏で重要視されています。日本では繁栄、幸運、喜びの象徴とされ、縄文時代から神聖な色として扱われてきました。神社の鳥居に代表されるように、赤には邪悪なものを遠ざける魔よけの力があると信じられています。

▲神社の鳥居では魔よけとして使われる赤
西洋においても、赤は情熱や権力を象徴する色です。一方で危険を示す色としても認識されています。この警告や注意を喚起する意味は多くの文化圏で共通しており、各種信号にも国際的に使用されています。
人間の赤ちゃんが生まれてから最初に見分けることができる色も赤です。生まれたときには無彩色(モノトーン)の世界でぼんやりと明るさしか判別できませんが、1カ月もすると赤を認識し始め、その後、数カ月かけてほかの色を識別していきます。
赤は血の色、生命の色。生きるために一番に見分ける必要がある色なのです。赤の意味は、国や文化を超えて人々の感情に強く訴える色として根付いています。
体へ強く働きかける色
赤の生理学的効果は興味深いものがあります。人間の視覚系に強い刺激を与え、脳にその信号が伝わることでアドレナリンが放出、心拍数の上昇や血流の促進が起こります。そのため、赤は興奮や活力を感じさせる色としても知られています。
また赤は進出色の典型例です。進出色とは、実際の距離よりも手前に見える色のことを指し、赤やオレンジ、黄色などの暖色系にこの現象が多く見られます。この特性により、赤は信号機や警告サイン、広告など、注目を集めたい場所で効果的に使用されています。
しかし、赤を使用する際には注意も必要です。過度の使用はストレスや緊張感を引き起こすことがあるため、使用する量や場所には配慮が欠かせません。特に生活空間においては、赤を多用しすぎると住む人に疲れを感じさせる場合があります。
日本の建築における使用例としては、神社仏閣、ベンガラ塗りの高級住宅、赤レンガの建築などが挙げられます。主張の強い色ではありますが、適切に使用することで特別感のある物件をつくり出すことができます。
次回は、どんな赤が日本の物件に使用しやすいのか、また赤を使うことのメリットとデメリットについて話したいと思います。
眞井彩子(さないさいこ)

プロフィール
色と旅をこよなく愛するカラーコンサルタント。自らも賃貸物件の運営を行い、色の力で満室を継続中。不動産のカラーコーディネートのほか、パーソナルカラー診断やカラーセラピー、色がテーマのまち歩きなど、色彩を通じて空間や人生に彩りを添える専門家として多方面で活躍中。著書「365日の色 彩暦」シリーズで、多くの読者から支持を得ている。
(2025年 4月号掲載)
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