教育資金確保のため賃貸経営 安価な中古戸建てに特化した投資
医療従事者として働く髙橋誠オーナー(長野市)は、2014年の夏に賃貸経営の世界に足を踏み入れた。きっかけとなったのは、当時3歳の息子の存在だ。
髙橋誠オーナー(65)(長野市)

髙橋オーナーは「当時私は50代。大病を患い、息子が大人になるまでの間、働き続けることができるのかという不安がありました。息子の大学進学までの資金を確保する目的で賃貸経営を始めることを決意。手始めに、160万円で長野市内のワンルーム区分マンションを購入しました」と話す。
 同年に区分マンションをもう1戸購入。翌15年には戸建て1戸、区分マンション1戸、アパート2棟と次々に所有物件を増やしていった。
 物件は手持ちの現金で購入できるものを選び、アパート1棟のみ融資を受けたが、これもすでに完済したという。
 以降、3~4年ほどの間で戸建て住宅を次々に現金で購入。現在はアパート2棟と区分4戸、戸建て物件25戸を所有している。
 物件は長野県内のほか、新潟県にもある。自主管理で運営しているため、自宅から車で1時間以内の場所を選んでいる。
新築物件には手を出さない マイルールで高利回り経営
髙橋オーナーは、あえて万人受けを狙わず、周辺の家賃を調べて最安値で貸し出せる物件のみを購入してきた。利回りは最低20%と決めているが、平均では30%を超えているという。
「賃貸経営における一番のこだわりは、格安で買って格安で貸すということです。家主仲間が建てた新築RC造のマンションの内覧会に行けば『うらやましい』と感じることもあります。しかし、自分は『新築に足を踏み入れてはいけない』と決めているのです」(髙橋オーナー)
 購入の際も、とにかく安い物件を探している。水道管の破裂や残置物が多いことを理由に安くなっている物件は、手を入れれば価値が上がる。髙橋オーナーにとっては掘り出し物だ。
 雨漏りのような明らかな瑕疵を修理するほか、水回りは必ずリフォームする。「毎回行う工事は相場がつかめているため、購入時にも考慮したうえで利回りを計算できるのです」と話す。
子どもの進路を見据えて 所有物件の整理を計画中
 現在、髙橋オーナーは65歳。以前から物件の購入は65歳までと決めている。70歳を過ぎたら、入居者に売却を持ち掛けるつもりだ。
「息子は中学生になり、いずれは医療関係の道に進みそうです。物件を引き継がせるより、現金を残したほうがいいと考えています」(髙橋オーナー)

▲長男もリフォームを手伝う
 そんな息子も、実は賃貸経営に興味を示している。休日には、リフォーム中の物件でDIYを手伝うこともある。塗装や庭木の選定なども行ってくれるという。
「時々、家主業をやろうかなといい出すこともあります。興味を持ってくれるのはうれしいですが、彼には彼の道があるはずです。私の勝手な方針で増やした物件を引き継ぐのではなく、やはりお金を残して好きな仕事で自立するための資金をつくってあげたいです」(髙橋オーナー)
(2025年 6月号掲載)






