投資で得た資金と時間で若者向けの居住支援法人作る

賃貸経営福祉

<<Focus ~この人に聞く~>>

不動産投資で得た資産と時間を活用
若者向けの居住支援法人を立ち上げ

田代貴之オーナー(京都市)は、居住支援法人の代表として若者向けのシェアハウス3棟16戸を運営している。2020年に脱サラして専業家主になった田代オーナー。投資家として人生を過ごす予定だったが、たまたま参加した経営者の集まりで居住の確保が困難な状況にある若者のことを知った。そこで、不動産オーナーの立場から助けになれると確信。今の若者の支援活動を行うようになったという。今夏も自立支援ホームを新たに1棟開業した。

田代貴之オーナー(京都市)


――居住支援法人としてどのような活動をしていますか。

 若者の支援を目的に掲げてシェアハウスを運営しています。若者が就職活動を行うのを前提に、今は16人が住んでおり、入れ替わりつつほぼ満室を維持しています。入居する若者と共用部で話す機会に消費と投資と浪費のバランスを伝えたり、ハローワークに付き添ったりという日常を送っています。行政から補助金を受けられるので、それが収益の助けになります。

――不動産投資と居住支援活動はどのように結び付きましたか。
 新型コロナウイルスの流行で、不動産投資家としてシェアハウスを運営するという計画が先送りになっていました。そんなときに、若者の支援団体の人と話す機会があったのです。その人は、福祉的な相談には乗れても住まいの確保が難しいと悩んでいました。それを聞いて「これだ!」と思いましたね。自分だったら利益を上げつつ住まいを提供することができますから。

――ご自身の経験も強い思いにつながっているようです。
 自分自身も、シングルマザーの家庭に育ちました。高校・大学時代は生きるためにアルバイト漬け。今考えると、社会の端っこで暮らしていたし、助けがあったらよかった。親を頼れなくて困っている若者に幸せになってほしいのです。

――自立援助ホームを7月に開始したそうですね。
これまでは就職を目指す若者が支援対象でしたが、対象を拡大しました。今後は高校生や大学生の居場所をつくります。実は高校生や大学生は「法の穴」により支援が届きにくいのです。例えば、18歳の学生が親から「出て行け」と言われてしまうと、学校に通うことができている間は生活保護の対象にはなりません。また障害者手帳はないレベルの生きづらさを抱える子に対するサポートも薄い。新しいホームでは、こういったはざまの若者に特化した支援をしていきたいと考えています。

――福祉×不動産について思うところは。
投資で得たお金と時間は、自分と自分の家族だけに使おうと思っていました。しかし、自分の得意な分野でかつての自分と似たような若者を支援できることは、むしろ私にとっても幸せです。活動を続けるために、利益もしっかり確保できるような物件取得や運営をしていこうと思います。今後もこの活動を拡大させていきたいです。

(五林麻美)

田代貴之オーナー プロフィール
セブンスターズ代表社員。2015年から不動産投資を始め、現在14棟125戸を所有。当初、資産管理法人として立ち上げたセブンスターズを居住支援法人として登録。若者の自立支援に力を入れている。


(2025年8月号掲載)

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