沖縄|沖縄の歴史と向き合う軍用地
仲田 哲善オーナー

今年は終戦から80年の節目を迎えます。沖縄では第2次世界大戦戦後、米軍に土地が接収されました。現在も米軍基地や自衛隊の施設としてその土地が使用され続け「軍用地」と呼ばれています。多くの場合、民間の土地を国が借り上げて利用するため、これらの軍用地には国から毎年支払われる借地料があります。そしてその利率は年率1%前後で複利的に上昇していくため、安定的な収益が見込める不動産資産として注目されているのです。
不動産市況の変動に左右されにくい点も大きな魅力です。近年では、資産の分散や相続対策を目的とした購入も増加しており、軍用地は一種の“金融商品”として県内外の投資家からも人気を集めています。
しかし沖縄県民にとって、軍用地は単なる投資対象にとどまりません。沖縄戦では9万4000人以上の民間人が犠牲となり、戦後には多くの土地が強制的に接収されました。そうした歴史を踏まえると、軍用地を取得するという行為には「その土地を守る」という思いも込められていると私は考えています。
経済的価値を持つ軍用地。その背景にある歴史と思いにも目を向けながら、沖縄県民として、仲間と共にこの土地を守りつつ、未来につなげていきたいと思います。
(2025年 10月号掲載)