著者インタビュー:次世代不動産経営のための「共感不動産」のすべて

賃貸経営不動産再生

<<著者インタビュー>>

次世代不動産経営のための「共感不動産」のすべて

~経年を優価に変える不動産再生の勧め

古い不動産が地域・家業の価値を生み出す
25年の経験を生かした再生の教科書

――書籍出版に至った経緯を教えてください。
 原住宅が60周年を迎え、私自身も経営を引き継いで25年。この節目に何か形を残したいと思ったのが出発点です。2023年に「次世代オーナー井戸端オープンセミナー」を開催し、半年かけて月1回ずつ「家主から『不動産経営実務者』へ」というテーマで体系的な学びの場を設定しました。その時の講義内容が今回の書籍の基になっています。

――漫画のストーリーが挟まった、読みやすい本ですね。
 講師の一人でもある梓書院の田村社長が、地方の偉人を漫画で紹介する事業を行っています。その影響で漫画という媒体の強さを感じており、今回の形式を採用しました。手に取りやすいよう工夫しましたが、内容は、我々が十数年かけて確立した知見や理論の集大成です。

――主人公を女性に設定したのはなぜでしょうか。
 08年に始めた「オーナー井戸端ミーティング」という勉強会に、地主に嫁いで不動産を任され困っている女性が多く参加していたのです。このような人たちに「不動産経営で最初に知ってほしいこと」を伝える場が必要だと痛感した経験が今回の45〜50歳くらいの女性という主人像につながっていきました。

――物件を受け継ぐ若い世代に向けた本なのでしょうか。
 私自身が年齢を重ねたこともあり、親世代にも読んでほしいと思いながら本を作りました。最終章をファミリーカンパニーの経営に関するものにしたのも、相続や継承を考える親子世代が読むことを想定してのものです。

――読者に特に伝えたいことはありますか。
 不動産経営はまちと共に生きること。これからは地方の衰退を追い風として逆手に取り、地主や家主がまちづくりの主役になれる時代です。老朽不動産は、積極的に開放することで人を育て、自分が生きる地域を育てる拠点にできる資産です。家主とは、自分の不動産と入居者を大事にしていくことで、まちを元気にすることができる素晴らしい職業でもあります。「地域の産業振興課」のような自覚を持ってほしいですね。

 

著者プロフィール
𠮷原勝己(よしはら・かつみ)

製薬会社勤務を経て不動産を引き継ぐ。リノベーションやDIYの分野を開拓し、ビル再生を次々に実施。築66年の『冷泉荘』は古さを生かして再生したことで福岡市都市景観賞を受賞し、国登録有形文化財にも登録された。NPO法人福岡ビルストック研究会設立をはじめ「九州DIYリノベWEEK」主催など、休眠不動産を生かしたまちづくり活動に尽力している。

次世代不動産経営のための「共感不動産」のすべて
~経年を優価に変える不動産再生の勧め

著者:𠮷原勝己
出版社:梓書院
価格:1980円(税込み)
概要

数々の老朽化したビルを「ビンテージビル」として再生させ、ビルだけでなく地域の活性化まで実現してきた著者による不動産経営者のための入門書。50棟以上の再生に携わるなかで見えてきた、不動産再生のために必要なものとは。「悩める大家」から、「事業を楽しむ不動産経営実務者」になるための学びが詰まった1冊。

(2025年11月号掲載)

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