<<データで見えた>>
空き家のトラブル・リスクに関する調査
不動産の開発・リノベーションおよび空き家事業を展開するジェクトワン(東京都渋谷区)は、7月9~10日に「空き家のトラブル・リスクに関する調査」を実施。日本全国で空き家を個人で所有しているオーナーの回答から、空き家が抱える問題の実態が明らかになった。
Q.どういった手入れを行っているか
A. 換気や草木の手入れが一般的

所有者本人や親族ら、誰かしらが管理している空き家を所有するオーナーに、どのような手入れを行っているのか聞いたところ、「換気」(58.1%)が最多で、「草木の手入れ」(57.2%)、「清掃」(53.9%)が続く。全体として、日常的な目に見えるメンテナンスが手入れの中心となっていることがわかった。また「通水」(33.7%)や「メーター確認」(32.5%)なども挙がり、生活インフラに関わる箇所にも気を配っている様子が見受けられる。
さらに、どの程度の頻度で手入れをしているか尋ねたところ、「月に1回程度」が最も多く32.2%を占めた。次いで「月に複数回」(27.1%)と続き、全体の約6割が月に1回以上の手入れを実施していることが明らかになった。
その一方で「2~3カ月に1回程度」(19.3%)や「4~5カ月に1回程度」(7.2%)という声があり、4割程度で管理頻度が低いこともうかがえる。中には1年に1回よりも少ない手入れで済ませている場合もあり、実質的には放置に近い状態にある空き家も少なくないようだ。
Q.空き家を所有することでどういったトラブルがあるか
A. 植物に関するトラブルがトップ

所有者全体の約4人に1人が空き家に関するトラブルを経験したことがあるようだが、トラブルを経験した人にその内容について聞いたところ、26.5%の人が「雑草・庭木・植栽」と回答した。「枝が隣家にまで伸びて苦情を受けた」「庭の草木が手入れされておらず見た目が悪いと怒鳴られた」といった日常的な手入れ不足が、近隣住民との摩擦を引き起こしている実態が浮かび上がる。
次いで多かったのは「不法侵入・空き巣・治安面」(16.9%)と「建物・設備の破損」(16.8%)で、「害虫・害獣」(10.8%)や「ごみ・不法投棄」(9.6%)が続き、生活環境や衛生面に関わるトラブルも一定数見られる。
Q.空き家管理においての実際の困り事は何か
A. 固定資産税がかかり続けることに悩む

実際に困っていることとして「固定資産税がかかり続ける」(32.9%)という声が最も多く、続いて「管理の手間がかかり続ける」(19.7%)、「管理維持費用がかかり続ける」(18.6%)が上位に並ぶ。空き家所有者の悩みの中心が費用や手間であり、その中でも経済的負担が大きな悩みになっているようだ。
今回の調査では、空き家は負債だと感じている人が4割いることが明らかになっているが、空き家は“使っていない不動産”ではなく、“適切に管理すべき資産”となるべき。経済的理由から対応を先延ばしにする例も多く見られるが、その結果として、修繕費や損害賠償といった、より大きな出費を招くリスクが高まるだろう。将来的なコストを抑えるためにも「空き家を管理する」という意識が今こそ求められる。
(2025年11月号掲載)