自作ツールとDIYで戸建て経営

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自作ツールとDIYで戸建て経営 融資なしで資産を増やす

建山幸広オーナー(横浜市)は、千葉県や茨城県を中心とした関東圏で、戸建物件のみ33戸を賃貸経営している。平均利回りは購入価格と初期修繕費用を基準にして、19%ほどだ。

建山幸広オーナー(横浜市)

 2006年、会社員として働いていた建山オーナーは3戸の新築ワンルームを購入。これが不動産経営の第一歩だった。当初は老後の備えとしての意識が強く、収益はプラスマイナスゼロの状態だったという。

 しかし、08年のリーマン・ショックの頃2戸が退去。一気に15万円の手出しがあったこと、空室リスクを実感したことで、それまでの経営に限界を感じた。そこで所有していた3戸を当時の残債額とほぼ同額で売却。以後は会社員として働きながら、13年に新築アパート1棟、15年から中古マンション2棟、16年に新築シェアハウス2棟、同年から中古木造アパート4棟と、業態にこだわらず不動産投資に挑戦していった。

 これらを高値が狙えるタイミングで売却し、資産を組み替えつつ、専業家主になることを考え始めたのは17年ごろのことだ。

 「さまざまな業態にチャレンジした結果、手元には収益性の高い中古アパートと中古戸建てが残りました。中古アパートはちょうど高く売れそうなタイミングで売却、中古戸建てであれば融資なしで拡大できそうなことを踏まえて、アパートを売却。借入金を完済し、身軽な状態で築古戸建てでの所有戸数拡大と事業化を目指すことにしたのです」(建山オーナー)

 同時期に体調を崩し、借金をつくることに抵抗があったことも、現金で中古戸建てを買う選択を後押ししたという。

 以後、17年から毎年4〜5棟のペースで買い進め、現在の規模まで拡大していった。築古ではあるが、建具がある程度現代風の平成築の建物を選び、需要を担保している。

リフォームや試算ツールをDIY

 現在、建山オーナーは戸建て物件の立ち上げにおいて、大部分のリフォームをDIYで行っている。また購入時には車で現地に出向く。その日のうちにリフォーム費用の概算を行うためだ。

 まずチェックするのは車載テレビと楽天モバイルの電波が入るかどうかだ。畳を裏返し、浄水槽がある物件ではふたを開けて穴がないか点検する。テレビ信号の有無をチェックする機材やレーザー水平器も持ち込み、建物全体の状態を確認するようにしている。

▲床が抜けた部屋のリフォーム事例

 所有物件の立ち上げをDIYで行う理由について「何かを作ることが好きで、新卒時もIT系の企業に就職しました。そのためDIYにも興味がありましたし、楽しめるのだと思います」と建山オーナーは言う。

 購入前の利回りシミュレーションやリフォーム代の見積もりには計算ツールを利用しているが、これも建山オーナーの自作だ。自らの技術と経験を生かしながら着々と資産を増やしている。

ポイントを押さえて客付け

 リフォームが完了し、募集をかけた物件は大抵1~2週間程度で入居が決まる。客付けも「ECHOES(エコーズ)」を利用して自分で募集ページを作成している。入居者の3分の1は外国籍で、ほとんどがファミリーだ。

 客付けのポイントとして「地方では車移動が基本ですから、まず物件購入の時点で駐車場があることを絶対条件にしています」と語る建山オーナー。

 また外国人への貸し出しが多いため、契約書には特記事項として「スパイスのにおい」が染み付いてしまったときのリフォーム代を明記。浄水槽の掃除や庭木の整備費など、築古戸建て特有の出費についても同様だ。

▲水回りもDIYできれいにする

 多くの築古戸建てを立ち上げる中で夜逃げや滞納、転貸などのトラブルにも遭遇してきた。今では経験を生かし、募集サイトや契約書を改善したほか、入居後に一度会いにいくことにしているという。外国人が苦手とする町内会の手続きやごみ捨て場所の説明を行い、近隣とのトラブルを事前に回避する。

 約10年、中古戸建てをメインに活動してきた建山オーナーだが、現在中古アパートの購入を検討している。

 「無借金で経営を続けてきたので、融資を受けやすいことを利用しようかと考えています。自分の主戦場は中古戸建てですが、固執することなく経営判断をしていくつもりです」(建山オーナー)

(2025年11月号掲載)

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