<<海外不動産買いました>>
ゴールドコーストで物件を現金購入
オリンピックの影響で資産価値が約2倍に
大阪市内を中心に5棟約100戸と店舗、事務所や駐車場を所有する五條雅史オーナー(大阪市)。不動産は父親から受け継いだものが多く、経営歴は今年で28年目。所有物件の多くが大阪・ミナミの繁華街の近くにあることから、入居者による傷害事件や、所有物件が麻薬の取引に使われてしまうなど数々のトラブルを経験してきた。それでも長年向き合ってきた家業ゆえに嫌気は差さず、「不動産経営でできることは全部してみたい」と五條オーナーは意気込む。
「全部してみたい」ことのうちの一つが海外の不動産の購入だった。2021年、念願叶ってオーストラリアのゴールドコーストにコンドミニアムを購入したという。たまたま大阪市内の物件を売却した後で、手元に資金があったことも背中を押した形となった。現金で購入し、物件価格は日本円(当時)で約4900万円だった。
五條雅史オーナー(大阪市)

「以前から海外不動産を買ってみたいと思っていました。オーストラリアの物件の購入についてのセミナーに7~8年もの間通うほど興味があったにもかかわらず、踏ん切りがつかなくて……」と、長い間悩んでいた五條オーナー。最後に背中を押したのは20年から流行した新型コロナウイルスの感染拡大だった。
「その頃にコロナが原因でオーストラリアの不動産価格が下がったのです。長年セミナーを受講していたのでチャンスだと思いましたね。しかし、飛行機も飛んでいなかったので現地に見に行くこともできず、本当に買っていいものか悩みました。ただ、今買わなかったらこの先の人生、どの局面でも買えないだろうなと考えて決断したのです」(五條オーナー)
その結果は大成功。日本の不動産より経費が多くかかるものの、家賃も資産価値も上がり続けているという。
月々の管理費は家賃の4%。これに加えて3カ月に1度10万円かかる。(オーストラリア1ドル=97・82円※9月18日現在)このほかにも、水道代が月々1万円強、さらに市税が年間60万円ほどかかるという。これらの経費により、手残りは半分程度にまで減ってしまう。だがそれは五條オーナーが外国人だから特別に経費がかかるのではなく、現地のオーナーも同じ条件だという。
「オーストラリアの金利相場は6%ほどと高いため、現地では借り入れ返済中は家賃と相殺してマイナスにならなければいいと考える人が多いといいます。いずれ売却して利益を得て、老後資金にするのが主な目的なのだとか」(五條オーナー)
こういった現地の事情を知っていたので、五條オーナー自身も日々の収益に大きな期待はしていなかった。
だが、購入後に幸運な出来事が起きる。五條オーナーの購入直後に32年ブリスベン五輪の開催が決定したのだ。ゴールドコーストはブリスベンまで車で1時間ほどとアクセスが良好で、その後、物件の家賃も資産価値も急上昇したのである。

コンドミニアムからのビーチの眺望が最高だ
オーストラリアに感じる縁
オーストラリアでは家賃を月ではなく週で設定する文化がある。購入時点での1週間の家賃は週550ドルだったが、今や週700ドルにまで上がった。家賃が高ければ売却時の価格も上がる。現在の類似物件の販売価格は1億円程度となっているそうだ。「私の購入した物件も同じくらいの価格で売却可能だとすると、購入価格の約2倍にまで資産価値が上がっているのです」(五條オーナー)
また、もともとゴールドコーストの賃貸空室率は0・8%と非常に低く、空室が出てもほとんどすぐに決まるという。近年の家賃急上昇局面でも、空室期間が延びるといったことはなかった。「本当にツイていると思いましたね」と五條オーナーは笑う。
「大学院の卒業旅行がオーストラリアで、訪問先にゴールドコーストも含まれていました。その頃はビーチだけを見て、すごい波が押し寄せてくるなという程度の印象だったのです。まさか自分が将来物件を買うことになるとは思っていませんでした」(五條オーナー)
日本の所有物件に住む外国人にも、オーストラリア人が多かったという。「今度は自分がオーストラリアに物件を買うことになったのもご縁ですね」と五條オーナーは振り返る。
ある程度英語力のある五條オーナーではあるが、現地の日本人エージェントが日本語対応できる専門家を紹介してくれたことで安心感をもって購入できたのだという。「基本的には日本で不動産を購入するのと同じように進めることができました。その後の管理会社とのやり取りの際は、AI(人工知能)に英文メール文のチェックをしてもらっています」と五條オーナーは話した。
(2025年11月号掲載)