<<高齢入居者に備える -リスクを抑える見守りサービス>>
リスクを抑える見守りサービス
高齢者入居を受け入れるにあたっては、見守りサービスの活用が重要だ。
10月施行の改正住宅セーフティネット法に定められる「居住サポート住宅」にも導入されるICTによる見守り。この中から、オーナーが利用できる注目のサービスを紹介する。
ショートメッセージで安否確認
ザ・ハウス(東京都渋谷区)
矢野 暁社長

月額495円で提供
見守りサービス導入時の検討要素になりやすいのが、利用料と入居者のプライバシーへの配慮だ。施主と建築家のマッチングサービスを手がけるザ・ハウス(東京都渋谷区)の「大家さん安心コール」は、入居者の携帯電話を活用することでコストを抑制。カメラやセンサーなどの機器が不要で、入居者にも配慮したサービスとなる。
携帯電話のSMS(ショートメッセージサービス)を利用して入居者の安否を確認する。65歳未満の入居者には7日に1回、65歳以上75歳未満の場合は5日に1回、75歳以上では3日に1回の頻度で安否確認メッセージを送信。入居者は、携帯電話の画面に表示される応答ボタンを押すことで安否の状況を知らせる。
メッセージに一定時間応答がない場合、ザ・ハウスから入居者本人に電話による状況確認を行う。電話の応答がない場合、緊急連絡先として登録された親族や知人、管理会社、家主に連絡する。丸1日たっても入居者本人、緊急連絡先、管理会社と連絡がつかない場合は警察へ連絡する。
月額料金は1人あたり月額495円(税込み)。14日間の無料トライアル期間も設ける。

▲利用者はスマホの応答ボタンを押すだけだ
冷蔵庫の開閉で異常を検知
ネコリコ(東京都千代田区)
山中泰介代表

1日2回の通知で孤独死早期発見に
IoT事業を展開するネコリコ(東京都千代田区)は、冷蔵庫の開閉の検知によって高齢入居者の生活の異常を知らせるサービス「独居ケアアシスタント」を提供している。独居ケアアシスタントは、センサーを冷蔵庫に貼り付けて設置し、入居者の生活を見守るサービス。冷蔵庫の開閉が確認できなかった場合にメールで通知する。
1人暮らしの高齢者宅では、トイレのドアを開けっ放しにしたり、お風呂に入る頻度が少なかったりすることがある。同社の調査によると、生活動線の中で冷蔵庫は多くの世帯で使用頻度が高いことがわかっており、冷蔵庫が一定時間開閉がない場合に異常と判定することで、生活の異変を検知している。
異常の通知は午前8時と午後2時の1日2回。午前8時の判定では、前日の午前7時から当日の午前7時までの24時間にわたり、冷蔵庫が一度も開閉されなかった場合に異常と判定し、メールが送信される。午後2時の判定では、当日の午前1時から午後1時までの間に開閉がなかった場合にメールを送信する仕組みだ。
同サービスは、2020年4月のサービス提供開始以来、自治体や小・中規模の管理会社を中心に利用されてきた。1戸単位で利用したいというニーズに応え、25年7月からは最低発注数を5台から1台に変更した。
営業企画部の山下晃信シニアマネージャーは「冷蔵庫開閉の検知というシンプルな仕組みが、プライバシーに配慮したうえで孤独死の早期発見につながる」と話す。

▲センサーを直接冷蔵庫に貼りつける
(2025年11月号掲載)
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