札幌|災害に強い再開発ビルの竣工
外村真美オーナー

札幌市中央区で6月、オフィス・ホテル・商業施設が入る複合ビル「LILAC SQUARE(ライラックスクエア)」が竣工しました。アクサ生命保険(東京都港区)が、環境問題に配慮した活動に投資するグリーン投資の一環として進めてきた再開発事業です。
同社は東日本大震災を受け、災害時のリスク分散を目的に、2014年に東京都から札幌市に本社機能を一部移転。地上14階建てとなる同ビルには、札幌本社が入る予定です。
同ビルの大きな特徴として、非常時の事業継続・早期復旧のためのBCP(事業継続計画)が策定されていることが挙げられます。場外離着陸場や井水処理室、非常用発電機などが設置され、建物地下にある免震装置は「上級」の基準をクリア。計画段階から建物全体でBCPに基づいた設計が行われているのは珍しく、今後のオフィスビル建築の際のモデルケースとしての役割も期待されます。
18年に最大震度7を観測した北海道胆振東部地震では、札幌市内でも大きな被害がありました。地震以外でも大雪による雪害などの災害も想定される中、官民一体となった備えが必要だと感じます。また同時に賃貸住宅においても、緊急時にどのような対応を行うかを想定しておく必要があると考えています。
(2025年11月号掲載)